この記事は「Maschine+ - パターンの録音(第3部)(Recording Patterns, Part 3)」の続きです。
Maschine+ には、柔軟で汎用性の高い Arp エンジン(アルペジエーター)が搭載されており、サウンドをノートシーケンスで演奏できます。アルペジオは、押し続けているパッドと、Scale and Chord エンジンで構成したコードの両方に従って作成されます。
コードを有効にしている場合、複数のパッドを押して、対応するすべてのコードのノートをアルペジオに含めることもできます!
Scale and Chord エンジンと同様に、Arp エンジンは Keyboard モード専用です。Arp エンジンは Note Repeat のメロディック版と考えられます。実際、Arp は Keyboard モードで Note Repeat を置き換え、拡張します。一定のピッチで繰り返しノートを演奏する代わりに、異なるピッチのノートシーケンスを演奏できます。パッドが Pad モードか Keyboard モードかによって、NOTE REPEAT を押すと Note Repeat モードまたは Arp モードに切り替わります。Arp モードは Note Repeat モードのパラメーターにいくつかのパラメーターを追加したものです。
アルペジエーターにアクセスするには:
Arp シーケンスに面白いリズムを作るには、RHYTHM セクションの Rate、Sequence、Swing パラメーターを使います。詳しくは下記の表の RHYTHM セクションを参照してください。
Arp シーケンスで利用できるノートの範囲、ベロシティ、長さを変更するには、OTHER パラメーター(Octaves、Dynamic、Gate)を使います。詳しくは下記の表の OTHER パラメーターの説明を参照してください。
Arp シーケンスの再生をラッチするには、Hold パラメーターを使います。詳しくは下記の表の Hold の説明を参照してください。
次の表は Arp モードの各パラメーターを説明します。
| 要素 | 説明 |
|---|---|
| LOCK(Button 2) | Arp モードを抜けても Arp 機能を有効なままにします。たとえば、アルペジオを動作させたままコード設定を調整したり、別のパターンに切り替えたり、プラグインのパラメーターを調整したりするのに便利です。Arp がロックされていると、別のモードに切り替えたときに NOTE REPEAT ボタンが薄く点灯し、Arp がオンであることを知らせます。 SHIFT + NOTE REPEAT のショートカットでいつでも LOCK を有効/無効にできます。 |
| HOLD(Button 3) | アルペジエーターで演奏されるノートをラッチできます。これによりパッドを離してもアルペジオが再生され続けます。もう一度 Button 3(HOLD)を押すとアルペジエーターが停止します。 |
| GATE RESET(Button 4) | このボタンをいつでも押すと、GATE パラメーターがデフォルト値の 100% にリセットされます。 |
| Button 5〜8 | 演奏中でも 4 種類のプリセットを切り替えられます。各プリセットには TYPE、RATE、UNIT、SEQUENCE、OCTAVES パラメーターの特定の値を保存できます(下記参照)。各ボタンに現在割り当てられているレートが、UNIT 値(3 連符は T、付点は D)とともにディスプレイ下部に表示されます。選択中のプリセットがハイライトされます。 |
| TYPE(Knob 2) | アルペジオのノートの並び順を設定します。次の設定から選べます。Up はルート音から始めてコードを上っていきます。Down は逆方向に演奏します。Up & Down は両方向を交互に演奏します。Order Played は対応するパッドを押した順に演奏します(コードを設定している場合、最初に押したパッドのコードの全ノート、次に押したパッドのコードの全ノート…の順)。Chord はコードの全ノートを一緒に繰り返し演奏します。 |
| RATE(Knob 3) | ノートの長さ、すなわちアルペジオのレートを調整します。利用可能な値は 1 BAR と、1/2(2 分音符)から 1/128(128 分音符)までの一連の音価です。 |
| UNIT(Knob 4) | RATE で定義した元の音価に対する 3 種類のバリエーションを選択します。NORMAL は元の音価(デフォルト)、TRIPLET は 3 連符(速く、元の 2 音の長さに 3 音)、DOTTED は付点版(遅く、元の 3 音の長さに 2 音)を再生します。Button 5〜8 の下では、3 連符値は音価の横に T、付点値は D で示されます。 |
| SEQUENCE(Knob 5) | アルペジオのノートに面白いリズムを加えられます。8 種類のシーケンスから 1 つを選んで、演奏中のアルペジオに適用します。Off を選ぶとデフォルトの規則的なシーケンスになります。 |
| OCTAVES(Knob 6) | アルペジオシーケンスの広がりを調整します。押したパッドのオクターブ内で再生することも、最大 8 オクターブを選んでコードのノート(または単一パッドの単音)をその数のオクターブで再生することもできます。 |
| DYNAMIC(Knob 7) | 押している各パッドに加える圧力(ポリフォニックアフタータッチ)から得られるベロシティを増幅または減衰させます。範囲は 1% から 200% です。この設定はすべてのレートプリセットにグローバルに適用されます。 |
| GATE(Knob 8) | ノートの長さとノート間の無音の長さの比率を、RATE で設定した音価に対するパーセンテージで調整します(上記参照)。範囲は 0% から 200% です。低い値ではノートが非常に短くなります。50% ではノートと無音が等しくなります。100%(中間)では各ノートが次のノートがトリガーされるまで正確に持続します。より高い値ではノートが重なり合います(選択したサウンドがポリフォニックである場合)。この設定はすべてのレートプリセットにグローバルに適用されます。 |
アルペジエーターの Page 2 には Advanced と Range の設定が含まれます。Advanced パラメーター(Retrigger、Repeat、Offset、Inversion)を使うと、同じアルペジエーターシーケンスの別バージョンを試せます。Range パラメーターはアルペジエーターシーケンスの最小・最大ノート範囲を設定します。
| 要素 | 説明 |
|---|---|
| RETRIGGER(Knob 1) | アルペジエーターシーケンスのステップ数を設定し、その数を過ぎるとシーケンス内のピッチ数に関わらずサイクルを再スタートします。例:5 音サイクル(1-2-3-4-5)で RETRIGGER が 3 の場合、出力は 1-2-3-(繰り返し)。RETRIGGER が 8 の場合、出力は 1-2-3-4-5-1-2-3-(繰り返し)。シーケンス内の休符もステップとして扱われます:6 ピッチのシーケンスが 1-2-3-休-4-5-6-休 で RETRIGGER が 5 の場合、出力は 1-2-3-休-4-(繰り返し)。 |
| REPEAT(Knob 2) | アルペジエーターシーケンスの各ステップを繰り返す回数を設定します。例:3 音サイクル(1-2-3)で REPEAT が 3 の場合、出力は 1-1-1-2-2-2-3-3-3-(繰り返し)。 |
| OFFSET(Knob 3) | アルペジエーターシーケンスのステップをサイクル内でずらす数を設定します。例:5 音サイクルで OFFSET が 0 の場合、出力は 1-2-3-4-5-(繰り返し)。+1 の場合 2-3-4-5-1-(繰り返し)。-1 の場合 5-1-2-3-4-(繰り返し)。 |
| INVERSION(Knob 4) | アルペジエーターシーケンスに反転したバリエーションをサイクルに加えます。例:3 音サイクル(1-2-3)で TYPE が UP、INVERSION が 0 の場合、出力は 1-2-3-(繰り返し)。INVERSION が 1 の場合 1-2-3-2-3-(繰り返し)。INVERSION が 2 の場合 1-2-3-(2-3-1 オクターブ上)-(3-1-2 オクターブ上)-(繰り返し)。 |
| MIN. KEY(Knob 5) | アルペジエーターシーケンスの入力として使用できる最低音を設定します。なお、アルペジエーターは Min. Key 設定より低いピッチを生成することがあります。 |
| MAX. KEY(Knob 6) | アルペジエーターシーケンスの入力として使用できる最高音を設定します。なお、アルペジエーターは Max. Key 設定より高いピッチを生成することがあります。 |
Notes モードでは、Smart Strip を使ってサウンドを演奏でき、刺激的な演奏体験が得られます。パッドを押さずに Smart Strip 上で指をスライドすると、Pad モードまたは Keyboard モードでパッドにマッピングされたすべてのサウンドが演奏されます。左から右へ指をスライドするとパッドが昇順に、右から左へスライドすると降順に演奏されます。これは(もしあれば)どのパッドを押し続けているかに関わらず適用されます。
Pad モードでは、Smart Strip を使って、選択したサウンドに基づいた一定数のサウンドをストラム(かき鳴らす)できます。パッドを押して選択グループからサウンドを追加・削除します。
Keyboard モードでは、Smart Strip を使って、選択したノートに基づいた一定数のノートをストラムできます。パッドを押してノートを追加・削除します。スケールが選択されている場合、ノートは選択したスケールに制約されます。Chord 設定と組み合わせて使うと、単音の代わりにコード全体を演奏できます。
Keyboard モードで Notes を使うと、Scale Type が選択されているときにより有用な結果が得られます。スケールの選択の詳細は スケールタイプの設定(Setting the Scale Type) を参照してください。
Smart Strip を使ってノートを演奏するには:
モジュレーションの録音により、選択したパラメーターの変化を時間軸に沿って録音できます。これにより、楽曲のサウンドやエフェクトに動き、生命感、奥行きが加わります。
パラメーターをモジュレートするには:
これでモジュレーションが録音されました。各ノブの動きはモジュレーションイベントとしてパターンに保存されます。次のサイクルからパターンとともに自動的に再生されます。
録音したモジュレーションを破棄してやり直したい場合:
チャンネルのすべてのパラメーターのモジュレーションイベントをまとめて削除することもできます。
| 💡 | ステップシーケンサーからモジュレーションを録音することもできます。詳しくは「ステップモードでのモジュレーションの録音(Recording Modulation in Step Mode)」を参照してください。 |
Step モードでもモジュレーションを録音できます。これは、パターン内の特定のタイミングで値の変化を設定したい場合に便利です。
Step モードでモジュレーションを録音するには:
モジュレートできるすべてのパラメーターはプラグインまたは Channel プロパティ内にあります(たとえば、Pattern Length や Step Grid の解像度はモジュレートできません)。つまり、モジュレートできるすべてのパラメーターは Control エリアの Parameter ページ内にあります(ソフトウェアが Arrange ビューのとき)。
モジュレート可能であるためには、プラグインおよび Channel プロパティのパラメーターは次の要件を満たす必要があります。
| ℹ️ | この 2 番目のルールはプラグインにも当てはまります。プラグインが Master レベルに読み込まれている場合、そのパラメーターはモジュレートできませんが、同じプラグインが Group または Sound レベルに読み込まれていれば、そのパラメーターはモジュレート可能です。 |
これらの要件を満たすほぼすべてのパラメーターはモジュレートできますが、次の例外があります。
プラグイン:
Channel プロパティ:
Lock を使うと、16 個のパッドから成る 4 つのバンクにまたがって最大 64 個のスナップショットを作成できます(合計で最大 64 個)。各スナップショットには、プロジェクト内のモジュレート可能なすべてのパラメーターが含まれ、Solo と Mute の設定も含まれます。作成すると、Extended Lock を使ってこれらを瞬時に切り替えたり、プロジェクトのテンポに同期してこれらの間をモーフィングしたりできます。Lock スナップショットは大規模なモジュレーションのための強力なツールであると同時に、ミックスを比較したり、ライブパフォーマンス中にスナップショットを切り替えたりするのにも非常に便利です。
LOCK ボタンは 1 つのスナップショットの作成とリコールに使用します。Extended Lock と併用すると、スナップショットを管理できます。更新したり、不要なスナップショットをクリアしたり、思いどおりに整理したりできます。
| 💡 | ノートや Program Change メッセージを使って Lock スナップショットをトリガーする方法については MIDIチェンジ(MIDI Change) を参照してください。 |
LOCK ボタンを使って、1 つの Lock スナップショットをキャプチャ、更新、リコールします。
Lock スナップショットを作成するには:
Extended Lock はすべての Lock スナップショットの概要を表示します。ここでスナップショットをリコール、更新、クリアできます。スナップショット間のモーフィングのオプションも設定できます。
Lock ビューに入るには:
Extended Lock 内で、保存済みの Lock スナップショットをリコールできます。
Lock スナップショットをリコールするには:
| 💡 | MIDI ノートや Program Change メッセージを使って Lock スナップショットをトリガーする方法については MIDIチェンジ(MIDI Change) を参照してください。 |
保存済みの 2 つのスナップショットを切り替える際、Maschine にそれらの間をモーフィングさせることで、楽曲に動きと面白さを加えられます。Extended Lock 内でモーフィングをオンにし、モーフの同期とタイミングのパラメーターを設定できます。
Lock スナップショット間をモーフィングするには:
| 要素 | 説明 |
|---|---|
| MORPHING | モーフィングの ON / OFF を切り替えます。 |
| MODE | TRAVEL はグリッドに同期せずに選択したスナップショット間をモーフィングします。モーフは次の小節を待たずに即座に開始します。モーフの長さは TIME パラメーターで設定します。 TARGET は、Bar に設定するとダウンビートに、または選択した Grid 値に同期してモーフィングします。 |
| TIME/GRID | TRAVEL モードでは、モーフの長さがここで設定した小節数だけ続きます。 TARGET モードでは、モーフの長さがここで設定した Grid 値に従って設定されます。 |
参照元情報:Recording Patterns
https://www.native-instruments.com/ni-tech-manuals/maschine-plus-manual/en/recording-patterns