eMotion LV1 Classic コンソール間でのLAGセットアップ手順

eMotion LV1 Classic コンソール間でのLAGセットアップ手順

Link Aggregation Group (LAG) を2台の eMotion LV1 Classicコンソール間でセットアップする方法についてご案内します

本ガイドでは、複数のミキシングポジション(モニター、FOH、ブロードキャストミキシング)に対応する、高い信頼性と最適化されたシステムを構築する方法、および1台または複数の eMotion LV1 ミキサーを使用するための適切なスイッチ設定手順を説明します。

ここでは、2台の NETGEAR M4 シリーズ AV Line マネージドスイッチを使用します。

ご注意: 本セットアップは、FOHに1台のeMotion LV1ミキサーを配置し、すべてのステージ機器を2台のマネージドスイッチ経由でコンソールに接続する場合にも適用できます。

はじめに

2台(またはそれ以上)のeMotion LV1ミキサーは、各ミキシングポジションに1台ずつ配置し、ステージボックス、サーバー、ドライバーを含む共通のSoundGridインベントリを共有できます。また、すべてのデバイスとミキサー間でクロック共有が機能します。

ほとんどのマネージドスイッチ(NETGEAR M4 AV Lineスイッチなど)は、リンクアグリゲーショングループ(LAG)を使用して堅牢なケーブル故障耐性を提供します。ケーブルの1本が故障した場合、LAGは自動的にオーディオデータを残りのリンクに再分配します(これにより一時的なオーディオの途切れが発生します)。

M4 AV Lineスイッチは、SoundGrid VLANに割り当てられたすべての該当ポートに最適化されたスイッチ設定を専用のSoundGridプロファイルを使用して提供します。

ご注意: ここで紹介するセットアップは実践例です。ただし、他メーカーの類似のマネージドスイッチを使用して同様のVLANとLAG機能を実現することは可能です。

動作要件

1. Windows/Macコンピュータ(RJ45 NIC搭載)
ネットワークスイッチへのアクセスと設定に使用されます。コンピュータは任意でどちらのスイッチにも接続できます。

2. ステージポジション:
  1. eMotion LV1 Classicコンソール(モニターミキシング)
  2. NETGEAR M4250 マネージドスイッチ
  3. IONIC 24 ステージボックス(複数可)

3. フロントオブハウスポジション(FOH):
  1. eMotion LV1 Classicコンソール
  2. Waves SoundGrid Titan サーバー
  3. SoundGrid バーチャルドライバーを使用するWindowsおよびMac レコーディング用コンピュータ(録音/再生用)
  4. NETGEAR M4250 マネージドスイッチ

接続と設定

1. WindowsおよびMac コンピュータの RJ45 NIC をスイッチの 1 つに接続します(本例ではステージ スイッチに接続します)。
このコンピュータは、両方のスイッチの設定を管理するために使用されます。

2. すべてのステージ デバイスをステージ スイッチに接続します。続いて、すべての FOH デバイスを FOH スイッチに接続します。

3. ステージスイッチを2本のイーサネットケーブルでFOHスイッチに接続します。NETGEAR M4シリーズスイッチでは、自動的にLAG*が作成されます。

*Auto-LAGは、複数のリンクが接続された際に、2つのNETGEARスイッチ間で動的なLAGを自動的に形成します。LAGは単一の論理リンクとして機能し、トラフィックをケーブル間で分散、リンクレベルでの障害耐性を提供します。1つのケーブルが故障した場合も、トラフィックは残りのリンク経由で継続します。

ケーブルの種類と長さ:

標準Cat5e/6/6a S/FTPケーブルまたは互換性のあるSFPトランシーバーを備えた光ファイバーケーブルを使用してください。短い距離でも優れた性能と電磁干渉への耐性を確保するため光ファイバーケーブルの選択が必要となる場合があります。これらのこうした用途向けに高品質のツアー用光ファイバーが入手可能です。
  1. 100m /328ft 未満の距離では、標準ケーブルで十分でしょう。
  2. 100m /328ft を超える距離では、必要に応じてマルチモードまたはシングルモードの光ファイバーケーブルを使用してください。

NETGEARスイッチをEngage Controller経由で設定する

NETGEARのEngage Controllerアプリケーションを使用して、1台のコンピュータから両方のスイッチを構成します。

スイッチを管理するコンピュータで次の手順を実行します:

1. スイッチに接続しているNICのIPv4設定にアクセスし、一意の静的IPアドレス(169.254.100.100から169.254.100.250の範囲内)とサブネットを255.255.0.0に設定します。

例:以下の設定を行い、OKをクリックします。
IP: 169.254.100.103
サブネット: 255.255.0.0
デフォルトゲートウェイ: 0.0.0.0



2. NETGEAR Engage ControllerアプリケーションをNETGEARのウェブサイトからダウンロードします。

3. NETGEAR Engage Controllerをインストールし、実行します。

4. Engageパスワードで、Engageコントローラーの管理者アカウント用の新しいパスワードを設定し、次へをクリックします。



5. Site Setupで、新しいサイト名とパスワード(管理アカウントで使用したパスワードと同じものを使用できます)を設定し、次へをクリックします。



6. Network Setupで下記を設定します。

a. 上部ボックスから"Static IP Address + DHCP server"を選択します。

これにより、EngageアプリケーションがテンポラリDHCPサーバーを使用して、ネットワーク内の各スイッチに異なるIPアドレスを自動的に割り当てます。

b.  Engage Network Interface(左側)で、スイッチに接続するために使用する該当する NIC を選択します。

c. IP レンジのフィールドで、IP アドレスの範囲が 169.254.100.100 ~ 169.254.100.250 であることをご確認ください。

d. Nextをクリックします。


7. Wireless Setupの右上にあるSkipをクリックします。ダイアログウィンドウでYesをクリックします。



8. Device Setupウィンドウで下記を設定します:

a. ステージスイッチ(コンピュータが接続されているスイッチ)の電源を入れます。

 'Discovered Devices' セクションにスイッチが表示されるまで待ちます。これには1~2分かかる場合があります。

b. FOH スイッチの電源を入れます。

 'Discovered Devices' セクションに表示されるまで待ちます。これには1~2分かかる場合があります。



9. ステージ スイッチの設定(Onboard):

a. Discovered Devicesセクションで、ステージ スイッチ横にあるOnboardをクリックします。

b. Continueをクリックします。

ご注意:ユニットがファームウェア更新プロセスを開始する場合があります。時間的制約のある状況での実行は避け、アップデートのため十分な時間を確保してください。

c. Onboard ウィンドウで 'Use device default password' を選択します。



d. 'Single' をクリックして続行します。

10. FOH スイッチの設定(Onboard):

Discovered Devicesセクションで、ステージ スイッチの横にあるOnboardをクリックします。
Continueをクリックします。

ご注意:ユニットがファームウェア更新プロセスを開始する場合があります。時間的制約のある状況での実行は避け、アップデートのため十分な時間を確保してください。



c. Onboard ウィンドウで 'Use device default password' を選択します。


d.  'Single' をクリックして続行します。

この時点では、両方のネットワークスイッチが DHCP サーバーから一時的な IP アドレスを提供され、両方のスイッチが ‘Managed Devices’ セクションに表示されます。


ヒント: 各スイッチに固有の名称を設定するには、Managed Devices セクションに移動し、デバイス名列の下にある鉛筆アイコンをクリックします。

両ネットワークスイッチの設定と構成

各スイッチに一意の静的IPアドレスを設定します。このIPアドレスは、スイッチの管理インターフェースにアクセスするための、新しい恒久的なアドレスになります。

1. Managed Devices セクションの Stage スイッチ行で Configure をクリックします。


a. Device Details > Management IP Addressで、鉛筆アイコンをクリックします。



b. Edit Management IP Settingsで Static を選択します。

c. Management IP Address に有効なアドレス(例:169.254.100.102)を入力します。

d, Subnet Maskに 255.255.0.0 を設定します。

e. Default Gatewayに 0.0.0.0 を設定します。

2. Applyをクリックします。



ご注意:このIPアドレスは、メモを取るなどして必ずお控えください。これ以降、スイッチの管理インターフェースにアクセスする際にはこのIPアドレスを使用します。

FOH スイッチに対しても同じ手順を繰り返し、固有の静的 IP アドレス(例:169.254.100.101)を割り当ててください。

SoundGrid プロファイル テンプレートの設定

ステージ スイッチで、SoundGrid VLAN に割り当てるすべてのポートの SoundGrid プロファイルの設定をご確認ください。このシナリオでは、デフォルトの VLAN 1 を Audio SoundGrid プロファイルで上書きします。

SoundGrid非対応のデバイスやプロトコルを使用する場合は、専用のVLANを別途作成してください。

1. 左パネルで Network Profiles をクリックします。

2. Configured Profiles の Default 行で、右側の3つのドットをクリックし、Edit を選択します。




3. SoundGrid VLANに割り当てるポートをすべて選択します。

4. Profile template で Audio SoundGrid を選択します。

5. Profile Name に SoundGrid Profile と入力します。

6. Apply をクリックします。

LAGの確立を確認する

下記手順で、LAG が正しく作成されたことを確認します。

1. 左パネルで Link Aggregation をクリックし、スイッチ同士を接続するために使用するポートが 'L1' と表示されていることを確認します。
以下の例では、ポート27と28が 'L1' と表示され、LAG 1の一部であることを示しています。

2. 'Mode'を 'Automatic' に設定します (デフォルト設定)。

3. Auto-Hash LAGを「 'Layer 2: Destination'に設定します (デフォルト設定)。

4. ‘Auto-Lag’ を有効にします (デフォルト設定)。



FOHスイッチでも同じ手順を繰り返して確認します。

両スイッチの設定を完了後、NETGEAR Engageアプリケーション右上にある SAVE をクリックします。



以上で両方のスイッチが正しく設定され、使用可能になりました。

重要な注意事項

・etherCON Panel Connectorの使用:

信頼できるメーカーの高品質なコンポーネントを使用してください。

ケーブルの種類と使用するetherCONコネクタを一致させる必要があります。カテゴリの不一致は、接続不良、不安定な接続、性能の低下を引き起こす可能性があります:

  1. Cat6aまたはCat5eケーブルコネクタは、Cat6aまたはCat5eパネルコネクタと互換性があります。
  2. Cat6aおよびCat5eケーブルコネクタは、Cat6パネルコネクタと互換性がありません。
  3. Cat6ケーブルコネクタは、Cat5eまたはCat6aパネルコネクタと互換性がありません。

LAGに関する詳細、該当するケーブル仕様、および互換性のあるSFPコネクタについては、スイッチ製造元のウェブサイトを参照するか、NETGEAR ProAV Designサポートチームまでお問い合わせください。

参照元情報
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