macOS Sonoma 14.0以降のOSを搭載したMacにおいて、オーディオインターフェースやUSBマイクでの録音時に意図しない「音質の変化」や「入力チャンネルの不整合」といった問題が発生する場合があるます。macOS Sonoma以降では、Appleの新機能である"声を分離(Voice Isolation)機能"がデフォルトで有効になっている場合があり、これが音楽制作環境において予期せぬ挙動を引き起こす原因となっています。
Apple「声を分離」機能について
macOS Sonomaから、オーディオ入力に対して「声を分離(Voice Isolation)」という機能が導入されました。
この機能は、機械学習を用いてマイク信号から背景ノイズを除去し、スピーチのみを強調することを目的としています。しかし、この機能はデフォルトで有効になっているケースが多く、音楽制作用のオーディオインターフェースを接続した際にも自動的に適用されてしまいます。
その結果、楽器の音を「ノイズ」と誤認して消し去ったり、ハードウェア本来のチャンネルルーティングを強制的に書き換えたりといった、音楽制作において深刻な不具合を引き起こします。
対象OS
macOS Sonoma (14.0以降)
macOS Sequoia
macOS Tahoe(およびそれ以降のバージョン)
発生する主な症状
「声を分離」機能が有効な場合、主に以下の2つの不具合が発生します。
1. 音質の劣化・不自然なノイズ
「声を分離」は人間の声のみを抽出するように設計されています。そのため、ギターやシンセサイザーなどの楽器を録音しようとすると、それらの音を「背景ノイズ」と誤認して除去しようとします。これにより、 音が途切れる、音質が極端に変化する、あるいは不自然に音が小さくなる といった現象が発生します。
2. 入力信号の割り当て(チャンネルマッピング)の異常
DAW(Logic Pro、GarageBandなど)において、入力設定が無視されるようになります。これは、Appleの「声を分離」機能が、接続されたデバイスの**「インプット1」の信号のみを強制的に参照する**という仕様(ハードコード)になっているためです。
例えば、 トラック1を「Input 1」、トラック2を「Input 2」に設定していても、両方のトラックへ「Input 1」に入力した音だけが録音される状態になります。Input 2以降に入力される信号は事実上無視されます。
4. 解決手順:マイクモードを「標準」に切り替える
音楽制作や楽器録音において、音質とルーティングの正常な状態を取り戻すには、マイクモードを「標準」に設定する必要があります。
- DAWなどの録音ソフトを起動した状態で、macOSメニューバーの右上にある オレンジ色のマイクアイコン をクリックします。
- 表示されたメニューから「マイクモード」をクリックします。
- リストの中から**「標準(Standard)」**を選択します。
高品質な録音を行うためには、特段の理由がない限り、常に「標準(Standard)」設定で使用することを強く推奨します。
設定を「標準」に変更することで、入力信号の割り当て(チャンネルマッピング)と音質が本来の仕様通りに復元されます。もし設定変更後も問題が解決しない場合は、以下のトラブルシューティングガイド(英語)を併せてご参照ください。
参考元記事
macOS Sonoma/Sequoia/Tahoe recording input issues