Synthビューに配置されている各シンセシスモジュール(String / Exciter / Body / Damper / Termination / Geometry / Pickup / Distortion / Filter / Envelope / LFO)と Output Gain についてまとめた章です。
このビューには、さまざまなシンセシスモジュールが表示されます。モジュールは全部で10個あり、4つのグループに分けて配置されています。Synthビュー下部にあるボタンを使って、モジュールを切り替えることができます。
弦楽器では、私たちが耳にする音の大部分は楽器のボディから放射されています。弦そのものが直接放射する音はごくわずかですが、弦の振動がブリッジを介して楽器のボディに伝わり、そこで効率よく放射されます。また、私たちが聴く音の音程を決めるのも弦であり、その音程は弦の有効長によって決まります。

実際の弦では、弦の素材がその振動のしかたに影響します。たとえば、金属弦はナイロン弦よりも長く振動し、音も明るくなります。String モジュールでは、この振る舞いを Damping ノブと Decay ノブで調整します。Damping ノブは弦の振動に含まれる高域成分の量を設定するもので、ノブを時計回りに回すほど高域成分が増えます。振動の減衰時間は Decay ノブで調整し、ノブを時計回りに回すほど長くなります。これら2つのパラメーターは、どちらもキーボードから受け取るピッチ信号でモジュレーションできます。
第一近似として、弦は調和的(ハーモニック)であると考えることができます。つまり、その部分音は基音の整数倍の周波数に位置するということです。しかし実際の弦は、主に弦の太さに応じて多かれ少なかれ非調和的(インハーモニック)になります。弦のこの特性は Inharm ノブで調整します。Inharm ノブを左いっぱいに回した状態では弦は完全に調和的になり、時計回りに回すにつれて部分音が高い周波数の方向へ次第にずれていきます。
Release ノブは、鍵盤が押されているときと離されたときの、弦の振動の減衰時間の比率を調整します。ノブを右いっぱい(値100%)に回した状態では、両方の減衰時間は等しくなり、Decay ノブの設定で決まる減衰時間と同じになります。このノブを反時計回りに回すと、鍵盤を押しているときの減衰時間は現在の設定のまま、ノートを離したときの減衰時間が短くなります。このコントロールは、弦に対するダンパーの働きを手軽に再現する手段にもなります。Damper モジュールを使用しつつ Release ノブを左に回した場合は、両方の減衰メカニズムの効果が合わさります。
最後に、String モジュールからの出力信号の全体レベルは Level ノブで調整します。このパラメーターは、ボディ(楽器)からディストーションおよびエフェクトへ送られる出力信号に比例します。そのため、このモジュール(ディストーション)や各種エフェクトでかかる歪みの量をコントロールするのにも役立ちます。
String モジュールは、さまざまな楽器や奏法を再現するために、異なる種類のエキサイターで演奏することができます。エキサイターはモジュール上部のスイッチで選択します。選択肢は左から順に Bow、Hammer 1、Hammer 2、Plectrum です。これらのエキサイターは同じパネルを共有していますが、各ノブで操作するパラメーターの名前はエキサイターごとに異なる点に注意してください。以下、各エキサイターについて詳しく説明します。
図12に示す Plectrum エキサイターは、ギター、ハープシコード、ベースなど、ピックで演奏する楽器に使用します。プレクトラムは、弦の下に置かれた傾いた物体が、スプリングによってプレートにつながっているものと考えることができます。プレクトラムの役割は、弦を自由振動させる前に弦に初期変位を与えることです。図12からわかるように、プレート(プレクトラムを持つ手と考えてもかまいません)が垂直方向に動くと、プレクトラムによって弦が持ち上げられますが、同時にスプリングが圧縮され、プレクトラムが水平方向にも動きます。弦はプレクトラムとともに動き、プレクトラムの突き出し量(Prot)がスプリングの圧縮量と等しくなったところで解放されます。プレクトラムの動きと振る舞いは、このシステムのさまざまな幾何学的・機械的特性を調整することでコントロールします。
Prot ノブは弦に対するプレクトラムの突き出し量を決め、スプリングの硬さとダンピングは Stiff ノブと Damp ノブで調整します。プレクトラムの垂直方向の速度は Velocity ノブで調整します。Prot、Stiff、Velocity の各コントロールは、演奏したノートのピッチ、またはキーボードからのベロシティ信号でモジュレーションできます。

図12:プレクトラムのしくみ

Hammer は、ピアノやその他の打楽器系の楽器を演奏する場合に使用します。このエキサイターでは、ハンマーによる打撃の力を受けて弦が自由振動を始めます。図13に示すように、ハンマーには Hammer 1 と Hammer 2 の2つのモードがあります。Hammer 1 モードでは、ハンマーは弦の下に位置し、弦を打つために持ち上げられた後は重力によって下に戻るため、弦と接触するのは1回だけです。Hammer 2 モードでは、ハンマーは弦の上に位置し、最初の打撃の後に弦の上で跳ね返ることがあります。
図13の図解は、ハンマーの動作を、マスにつながったヘッドの動きとしてモデル化できることを示しています。ハンマーの質量は Mass ノブで、ヘッドの硬さは Stiff ノブで調整します。ハンマーが弦を打つときの速度は Velocity ノブで設定します。ハンマーの動きはさらにダンピング係数によって特徴付けることができ、これは Damp ノブで調整します。このパラメーターは、弦とハンマーの間の衝撃をハンマー側がどれだけ吸収するかをコントロールするものです。このパラメーターは、弦の振動や音全体の減衰時間とは関係がない点に注意してください。それどころか、このパラメーターはハンマーの物理的特性を再現しているにもかかわらず、その効果が直感に反するように感じられることがあります。たとえば、ハンマーのダンピングを大きくすると、ヘッドとマスをつなぐスプリングの圧縮が硬くなり、ハンマーと弦の接触時間は短くなりますが、接触はより強くなるため、結果として音が大きく、あるいは長くなります。

図13:2つのハンマーモード
Bow エキサイターは、バイオリン、ビオラ、チェロなどの擦弦楽器を演奏する場合に使用します。弓(ボウ)の役割は、弦を自励振動させることです。物理的には、弦の振動は「スティック(固着)」と「スリップ(滑り)」の規則的な繰り返しによって維持されます。弦と弓の間の摩擦力によって弦は弓に貼り付き、弓の動きに沿って動きますが、やがて弦自身の振動によって生じる張力が弓から弦を引き離します。すると弦はスリップの段階に入り、弓とは逆方向に動きます。弦の動きが再び向きを変えると、弦はまた弓に貼り付き、引き離されるまで弓とともに動いて、このサイクルを繰り返します。このスティック・スリップ運動の周波数は、弦の振動の周波数、つまり演奏しているノートの音程とまったく同じです。
弓を弦に押し当てる力は Force ノブ、弓と弦の間の摩擦は Friction ノブ、弓の速度は Velocity ノブで調整します。楽器の音色と振る舞いは、これらのパラメーター間の複雑な関係によって決まりますが、いくつかの一般的な目安があります。弓が弦に加える力を大きくすると、音色はより擦れたような(ザラついた)ものになります。弓と弦の間の摩擦は通常アタックの長さを決め、摩擦が大きいほど弦はすばやく振動を始めます。最後に、速度は音の振幅に関係します。

図14:弓による弦の励振
弦楽器のボディ(響板)の役割は、弦からの振動エネルギーを放射することです。ボディはまた、その大きさと形状に応じて、弦からの振動にフィルター効果を加えます。ギターなど一部の楽器では、ボディに空気の空洞があり、低域を増強します。

モジュール上部の Type セレクターでは、さまざまなボディ形状を選択できます。それぞれが特定の種類の楽器のボディのスペクトル特性を再現しています。各ボディタイプについて、Size セレクターでサイズを、極小(T)から極大(H)まで(中間に小 S、中 M、大 L)選ぶこともできます。基本的に、ボディのサイズを小さくすると周波数特性が高い周波数側へ、大きくすると低い周波数側へ移動します。形状やサイズに加えて、ボディの素材もその放射とフィルター効果に影響します。この振る舞いは Decay、Low Cut、High Cut の各ノブで調整します。振動の減衰時間は Decay ノブで調整し、ノブを時計回りに回すほど長くなります。Low Cut ノブと High Cut ノブは、ボディの振動に含まれる高域と低域の量をそれぞれ設定し、ノブを時計回りに回すほどその量が増えます。
(訳注:原文では「Low Cut / High Cut ノブはそれぞれ高域・低域の量を設定する」と記載されていますが、ノブの名称からは Low Cut が低域側、High Cut が高域側に作用するものと考えられます。実際の効果は製品上でご確認ください。)
Mix ノブは、Body モジュールの出力信号における、String モジュールからのダイレクト信号と Body でフィルター処理された信号の比率を調整します。左いっぱいに回すと Body モジュールの出力は String モジュールからの信号のみとなり、右いっぱいに回すと String モジュールからのダイレクト信号は含まれなくなります。ノブがセンター位置にあるときは、Body モジュールの出力信号にダイレクト信号とフィルター処理された信号が同量含まれます。

Damper モジュールは、弦の振動をすばやく減衰させるために使用します。ピアノやハープシコードではフェルトがこの役割を果たし、バイオリンやギターでは演奏者の指で弦の振動を止めます。基本的に、ダンパーは図15のように、弦に作用するマスとスプリングの系と考えることができます。Mass ノブと Stiff ノブでこれらのパラメーターを調整します。これらはダンパーが弦とどのように相互作用するかに影響します。これらの物理パラメーターは Keyboard からのピッチ信号でモジュレーションでき、楽器の全音域にわたって微調整できます。Velocity ノブは、ダンパーを弦に当てる速度と弦から離す速度を調整します。このパラメーターも Keyboard モジュールからのピッチ信号でモジュレーションできます。Gated ボタンは、ダンパーを弦に当てるタイミングをコントロールします。このボタンがオフのときは、ダンパーは常に弦に当たっています。つまり、常に弦に接触して振動に影響を与える物体のように働きます。このボタンがオンのときは、ノートオフメッセージを受信したときにだけダンパーが弦に当たり、ノートオンメッセージを受信すると弦から離れます。Damper モジュールの最後のパラメーターは Damping ノブで調整するもので、ダンパーが弦からエネルギーを吸収する能力を表します。このノブを時計回りに回すと、ダンパーが弦に与えるダンピングが大きくなります。

図15:ダンパーのしくみ

このモジュールは、図16に示すフレット / 指 / 弦の相互作用をモデル化するために使用します。実際の楽器では、この相互作用によって弦の有効長を変え、演奏するノートの音程を決めています。
指(Finger)の物理パラメーターは Mass ノブと Stiffness ノブで変更でき、それぞれ弦に加わる質量とターミネーションの硬さを決めます。Mass パラメーターは、キーボードからのピッチ信号とベロシティ信号の両方でモジュレーションできます。ターミネーションはさらに、指で押された弦が当たるフレットの硬さによっても特徴付けられます。このパラメーターは、Fret ラベルの下にある Stiff ノブで調整します。

図16:指とフレットの相互作用
Geometry モジュールは、弦上でエキサイターとダンパーが作用する位置を設定するために使用します。これらの位置は Exciter ラベルと Damper ラベルの下にある Position ノブで調整し、0(弦の固定点)から弦の長さの半分(値0.5)までの任意の値に設定できます。

Abs(絶対位置)スイッチがオンのときは、演奏するノートにかかわらず、エキサイターまたはダンパーの位置は固定されます。たとえばギターで、ノートを変えるときに弦の有効長は変わっても、ピックの位置は固定したまま演奏する場合がこれにあたります。実際の位置は、ミドルCに相当する弦の長さに Position ノブの設定を適用して決まります。なお、演奏したノートに相当する弦の長さがこの位置よりも短い場合は、エキサイターまたはダンパーは弦の固定点に追従します。
Abs スイッチがオフのときは、ダンパーまたはエキサイターの位置は、常に弦の長さの一定の割合に対応するように変化します。この割合は Position ノブで設定します。このタイプのジオメトリーはピアノなどの楽器に見られ、ピアノではハンマーが弦の長さの約1/7の位置で弦を打ちます。
エキサイターとダンパーの位置は、どちらもキーボードから受け取るピッチ信号またはベロシティ信号でモジュレーションできます。モジュレーションは、エキサイターまたはダンパーの Position ノブで設定した値を基準とした相対的なものになります。
Pickup モジュールは、エレキギターやエレクトリックピアノに見られるマグネティックピックアップの動作を再現します。このタイプのトランスデューサーは、近くにある金属製の弦の動きに反応します。弦がピックアップの近くで振動すると、ピックアップは弦と同じ周波数で、弦の速度に比例した振動信号を出力します。
Pickup モジュールで調整するパラメーターは、弦に対する位置だけです。この位置によって出力の波形が変わります。
通常、ピックアップからの信号は、アンプなどの外部機器に直接送られます。つまり、楽器のボディは音の放射に何の役割も果たしません。String Studio では、Pickup モジュールをオンにし、Filter モジュールと Body モジュールの両方をオフにすると、この振る舞いになります。Pickup、Filter、Body の各モジュールがすべてオンの場合は、Pickup からの出力信号が Filter モジュールと Body モジュールでフィルター処理されます。最後に、Pickup モジュールをオフにした場合は、String からの出力信号が直接 Filter モジュールと Body モジュールに送られます。

Distortion モジュールは、たとえばエレキギター用のディストーションペダルに見られるような、シンプルなディストーションエフェクトです。Type ドロップダウンメニューから、マイルドなものからメタル系まで、さまざまなディストーションアルゴリズムを選択できます。
Drive ノブはゲインコントロールで、Distortion モジュールに入力される信号のレベル、ひいては信号に加わるサチュレーションの量を調整します。ディストーションアルゴリズム適用後の信号の音色は、Tone ノブで調整できます。左いっぱいに回すと信号の高域が減衰し、右いっぱいに回すと低域がカットされます。センター位置では信号はそのままです。最後に、Level ノブで Distortion モジュールの出力信号の振幅を調整します。

String Studio の音作りの可能性を広げるため、String モジュールと Body モジュールの間にマルチモードフィルターが挿入されています。このマルチモードフィルターには、レゾナント・ローパス、バンドパス、ハイパス、ノッチ、フォルマントの各フィルターがあり、Type ドロップダウンメニューで選択できます。フィルターの次数は、Order ドロップダウンメニューで 2(ローパス / ハイパスは -12 dB/Oct、バンドパスは -6 dB/Oct)または 4(ローパス / ハイパスは -24 dB/Oct、バンドパスは -12 dB/Oct)に設定できます。フィルターの共振周波数は Cutoff ノブで、Q(レゾナンス)は Resonance ノブで調整します。フォルマントフィルターを使用している場合は、Resonance ノブで母音(a、e、i、o、u)を切り替えます。
フィルターのカットオフ周波数とレゾナンスは、さまざまなモジュレーションソースでモジュレーションできます。モジュレーションソースには、キーボードのピッチ信号、エンベロープジェネレーター(Env)および LFO モジュールの出力があります。では、使用できる各フィルタータイプを詳しく見ていきましょう。

図17:ローパスフィルターの周波数特性
ローパスフィルターは、信号の低域成分はそのままに、高域成分を取り除くために使用します。減衰が始まる周波数をカットオフ周波数と呼びます。レゾナントフィルターでは、図17に示すように、カットオフ周波数付近の周波数を、フィルターのレゾナンス(Q)で決まる量だけ強調することもできます。レゾナンスを高くするほど、カットオフ周波数付近のフィルターの応答は大きく鋭くなります。レゾナンスを最小(Resonance ノブを左いっぱい)にすると、カットオフ周波数付近は強調されず、カットオフ周波数での減衰量は -3 dB になります。カットオフ周波数より上の周波数の減衰量はフィルターの次数によって決まり、次数は Order メニューで設定します。2次フィルターでは -12 dB/Oct、4次フィルターでは -24 dB/Oct のスロープになります。

図18:ハイパスフィルターの周波数特性
レゾナント・ハイパスフィルターは、レゾナント・ローパスフィルターとまったく逆の動作をします。つまり、カットオフ周波数より下の周波数成分を取り除き、カットオフ周波数より上の成分はそのままにします。ローパスフィルターと同様に、Resonance ノブでカットオフ周波数付近の強調量を調整します。

図19:バンドパスフィルターの周波数特性
バンドパスフィルターは、図19に示すように、中心周波数付近の帯域の周波数を通過させ、その帯域外の周波数を減衰させます。バンドパスフィルターの帯域幅は Resonance ノブで、中心周波数は Cutoff ノブで設定します。Order コントロールではフィルターの次数を設定します。このパラメーターは、中心周波数の両側のロールオフのスロープに影響します。2次フィルターではスロープは -6 dB/Oct、4次フィルターでは -12 dB/Oct です。

図20:ノッチフィルターの周波数特性
ノッチフィルターは、基本的にバンドパスフィルターと逆の動作をします。図20に示すように、中心周波数付近の帯域の周波数を減衰させ、その帯域外の周波数はそのままにします。Cutoff ノブで中心周波数を、Resonance ノブでノッチの帯域幅を設定します。なお、中心周波数はフィルターの出力信号のスペクトルから完全に取り除かれます。

図21:フォルマントフィルターの周波数特性
フォルマントフィルターは、人の声における声道のフィルター効果を再現します。舌の位置や口の開き具合を変えたり、鼻腔を開閉したりすることで、声門からの信号にかかるフィルターが変わり、さまざまな母音が生まれます。測定の結果、このフィルターは、図21に示すように声道の3つの主要な空洞に対応する3つのピーキングEQフィルターでモデル化できることがわかっています。これらはフォルマントとも呼ばれます。これら3つのフィルターのパラメーター(周波数、振幅、レゾナンス)を動かすことで、すべての母音を切り替えることができます。フォルマントフィルターにおける Cutoff ノブの働きは、すべてのフォルマントを同じ比率でシフトさせることで、男性の声(左側)、女性の声(センター)、子どもの声(右側)を切り替えるために使用します。Resonance ノブでは母音を切り替えます。これらのパラメーターの変化は、各種モジュレーション信号を使って自動化できます。
エンベロープジェネレーターモジュールの Filter Env は、標準的な ADSR(アタック、ディケイ、サスティン、リリース)方式に基づいており、ベロシティによるモジュレーションも備えています。

図22:エンベロープジェネレーターの応答カーブ

エンベロープモジュールは、アタック、ディケイ、サスティン、リリースの4つのセグメントからなるエンベロープを生成します。アタックタイムは A ノブで調整します。アタックタイムは Keyboard から受け取るベロシティ信号でモジュレーションすることもでき、ベロシティ信号が大きいほどアタックタイムが短くなります。この効果の強さは A ノブの下にあるモジュレーションノブで調整します。このノブが左いっぱいのときは、アタックは A ノブの値だけで決まります。時計回りに回すとベロシティ信号の影響が大きくなり、V が最大値に達すると、アタックタイムは完全にベロシティ信号の逆数によって決まります。ディケイタイムは D ノブで設定します。エンベロープジェネレーターのサスティンフェーズは、ディケイフェーズの終わりから鍵盤が離されるまで続きます。S ノブを左いっぱいに回すとサスティンレベルはゼロになりサスティンフェーズはなくなります。右いっぱいに回すとサスティンレベルは最大になり、ディケイフェーズはなくなります。サスティンフェーズも、キーボードからのベロシティ信号でモジュレーションできます。最後に、鍵盤が離されるとエンベロープジェネレーターはリリースフェーズに移り、エンベロープ信号は R ノブで設定した時間をかけて、サスティンレベルからゼロまで下がります。
LFO モジュールは、Filter モジュールのモジュレーションソースとして使用します。LFO モジュールでは、波形、レート、フェードインの動作を調整できます。
LFO の波形は Shape ドロップダウンメニューで選択します。選択肢は、Sine(サイン波)、Tri(三角波)、Rect(矩形波)、および2つのランダムモードである Rdm1 と Rdm2 です。Shape を Rdm1 に設定すると、LFO は Sync Rate コントロールまたは Rate ノブで決まるレートでランダムな値を出力します。この場合、LFO の出力値は新しいランダム値が発生するまで一定のままです。Rdm2 モードは前述のモードとほぼ同じ動作ですが、新しい値に瞬時に切り替わるのではなく、連続するランダム値の間を LFO モジュールがなめらかに上昇または下降していく点が異なります。

LFO モジュールの出力のレート(周波数)を調整する方法は2つあります。Sync スイッチがオフの場合、レートは Rate ノブで決まります。Sync スイッチがオンの場合、オシレーターの周波数は、ホストシーケンサーの周波数(テンポ)、またはスタンドアロンモードではマスタークロック(4.2.1節を参照)に対する相対値で決まります。同期の値は Sync Rate コントロールで調整し、4分音符の1/8(32分音符)から4分音符16個分(全音符4個分)までの範囲で設定できます。LFO モジュールは、3連符(t)や付点音符(d)に同期させることもできます。なお、Sync コントロールが押されている(オンの)ときは、Rate ノブは効果がありません。
LFO モジュールのもう1つの機能は、出力信号にフェードイン効果を加えられることです。つまり、LFO 信号の振幅がゼロから最大値に達するまでに必要な時間を設定できます。このフェードインの長さは、Fade ノブで 0〜5秒の範囲で調整できます。このノブを左いっぱいに回すと値は0となり、フェードイン効果をなくすのと同じになります。さらに、フェードインにディレイを加えることで、LFO 信号が加わり始めるタイミングもコントロールできます。このパラメーターも、Delay ノブで 0〜5秒の範囲で設定できます。このノブは、Fade の値がゼロに設定されている場合でも有効です。その場合、LFO モジュールからの信号は単に遅れて加わります。

図23:LFO のフェードイン機能
適切なゲインステージングを確保するため、Synth セクションの出力レベル、つまりエフェクト前の信号レベルは、メゾフォルテ(やや強め)で楽句を演奏したときに 0〜+4 dBr の範囲に収まるようにしてください。通常は Synth セクションの各モジュールのゲインを使ってこれを実現できるはずですが、それが難しい場合に備えて追加のゲインパラメーターが用意されています。このゲインは、Body モジュールの右側にある Output ノブで調整します。
Output ノブのすぐ上にあるカラーLEDは、信号経路のこのポイントにおけるレベルの目安を示します。このLEDは、信号が 0〜+4 dBr の範囲にあるときに明るい緑色に点灯し、出力レベルが上がるにつれて黄色、さらに赤色に変わります。より正確に確認したい場合は、このLEDをクリックするとレベルメーターが表示されます。もう一度LEDをクリックすると非表示になります。全体のレベルとレベルメーターの詳細については、5.5.1節を参照してください。
参照元情報:AAS String Studio VS-3 user manual
https://www.applied-acoustics.com/string-studio-vs-3/manual/