String Studio VS-3 - 4-3. Parameters(パラメーター):Effects View

String Studio VS-3 - 4-3. Parameters(パラメーター):Effects View

Effectsビューと、マルチエフェクトモジュールに搭載された各エフェクト(イコライザー、コンプレッサー、ディレイ、ディストーション、コーラス、フランジャー、フェイザー、ワウワウ、ノッチフィルター、ギターアンプ、トレモロ、リバーブ)についてまとめた章です。


4.4 Effectsビュー

Effectsビューは、レイヤーミキサーセクションのEffectsタブをクリックすると表示され、マルチエフェクト(Multi-Effects)モジュールを中心に構成されています。マルチエフェクトモジュールは各レイヤーの出力に1つずつ、さらにレイヤーミキサーの後段であるシンセサイザーの出力に1つ配置されています。これらのマルチエフェクトモジュールに含まれる個々のエフェクトモジュールは、いずれも同じものです。

マルチエフェクトモジュールを使うと、信号を加工し、音色を整えることができます。このモジュールは、Equalizer(イコライザー)とCompressor(コンプレッサー)に、2基の設定可能なエフェクトプロセッサーとReverb(リバーブ)を直列に接続した構成になっています。エフェクトプロセッサーは、各モジュール中央にあるドロップダウンメニューで別のタイプに切り替えることができ、幅広い使い方が可能です。オン / オフは、このメニューのすぐ下にあるOnボタンで切り替えます。エフェクトの種類には、Delay、Distortion、Chorus、Flanger、Phaser、Wah Wah、Auto Wah、Guitar Amplifier、Tremolo、Notch filterがあります。

マルチエフェクトモジュールは、Playビューのユーティリティセクションのすぐ下にも表示されます。これにより、サウンドでどのエフェクトが選択されているかをすばやく確認し、エフェクトのオン / オフを切り替え、各エフェクトのかかり具合をすばやく調整できます。Compressor、Equalizer、Reverbもこのビューから調整できます。


4.4.1 イコライザー(Equalizer)

Equalizerモジュールは、低域・中域・高域の各周波数帯域でイコライジングを行います。ローシェルフフィルター、2基のピークフィルター、ハイシェルフフィルターを直列に接続した構成で、それぞれLF、LMF、HMF、HFと表示されています。

ローシェルフフィルターの働きを図24に示します。このフィルターは、カットオフ周波数より下にある低域成分にゲインを適用し、それより上の成分はそのまま通します。このフィルターのカットオフ周波数はFreqノブで調整し、40〜400 Hzの範囲で設定できます。Gainノブでは、信号に適用するゲインを±15 dBの範囲で調整します。ノブが中央の位置では減衰はありません(0 dB)。時計回りに回すと低域の振幅がブーストされ、反時計回りに回すとカットされます。

信号の高域成分は、図24に示すとおり、ローシェルフフィルターとは逆の動作をするハイシェルフフィルターでコントロールします。このフィルターは、カットオフ周波数より上にある成分にゲインを適用し、それより下の成分はそのまま通します。1 kHz以上に設定されるこのフィルターのカットオフ周波数はFreqノブで調整し、信号に適用するゲインはGainノブで±15 dBの範囲で調整します。ノブが中央の位置では減衰はありません(0 dB)。時計回りに回すと高域の振幅がブーストされ、反時計回りに回すとカットされます。

図24:ローシェルフフィルターとハイシェルフフィルター

Equalizerモジュールには、LMFとHMFと表示された2基のピークフィルターがあり、図25に示すように2つの周波数帯域で信号の音色を整えることができます。これらのフィルターは、フィルターのカットオフ周波数を中心とする帯域の周波数成分にゲインを適用します。カットオフ周波数はFreqノブで調整し、100 Hz〜10 kHzの範囲で設定できます。カットオフ周波数で適用されるゲインはGainノブでコントロールし、±15 dBの範囲で設定できます。ノブが中央の位置では減衰はありません(0 dB)。時計回りに回すとカットオフ周波数周辺の振幅がブーストされ、反時計回りに回すとカットされます。Qノブは、フィルターが作用する周波数帯域の幅を決める、いわゆるQ値(クオリティファクター)を調整します。ノブを左いっぱいに回した位置では帯域が広く、時計回りに回すほど帯域が狭くなります。

図25:ピークフィルター

Gainノブは、このモジュールの出力レベルを調整します。中央の位置ではレベルは変化せず、反時計回りに回すとレベルが下がり、時計回りに回すとレベルが上がります。


4.4.2 コンプレッサー(Compressor)

Compressorモジュールは、信号のダイナミクスを自動的に圧縮する、つまり小さくするために使用します。このモジュールには2つの入力信号があります。1つ目は圧縮される信号、2つ目はコントロール信号で、このコントロール信号が一定のレベルを超えると圧縮処理が開始されます。

パラメーターの調整(Tuning)

Compressorが動作を開始するレベルは、Threshold(スレッショルド)パラメーターの値で決まります。この値の単位はdBで、モジュールの1つ目のレベルメーターに表示される入力信号の振幅に対応します。

信号のうちスレッショルド値を超えた部分に適用される圧縮の量は、Ratio(レシオ)パラメーターによって決まり、1:1〜1:16の範囲で設定できます。このパラメーターは、コンプレッサーの出力信号のうちスレッショルド値を超えた部分と、入力信号のうちスレッショルド値を超えた部分の比(dB)を表します。当然ながら、レシオを大きくすると、信号に適用される圧縮量も大きくなります。たとえばレシオが1:5の場合、入力信号がスレッショルドを5 dB超えると、出力信号はスレッショルドを1 dBだけ超えることになります。なお、RatioパラメーターはPlayビューからも調整できます。

ほかに2つのコントロールがCompressorの動作に影響します。Attack(アタック)ノブは、入力レベルがスレッショルド値を超えてから、Compressorが完全に作動するまでの時間をミリ秒単位で設定します。短い値にすると、Ratioノブで設定した圧縮量にすばやく達します。アタックを長くすると、より緩やかにその圧縮量に達します。言い換えると、アタックタイムは圧縮効果の立ち上がり(アタックトランジェント)の時間を表すものです。Release(リリース)パラメーターも同様で、入力信号の振幅がスレッショルド値を下回ってから、Compressorが圧縮を止めるまでにかかる時間を表します。

Makeup(メイクアップ)ノブは、Compressorモジュールの出力の全体レベルを調整するもので、圧縮効果によって生じた信号レベル全体の変化を補正するために使用します。

モジュール中央にある減衰量(ゲインリダクション)レベルメーターは、モジュールが適用している圧縮量を示します。これは、メイクアップゲインを適用する前の、モジュールの入力信号と出力信号の差です。


4.4.3 ディレイ(Delay)

Delayモジュールは、フィードバック経路に可変ディレイを備えたステレオのフィードバックループで構成されています。ディレイタイムが長い場合(100 msより大きい場合)はエコー効果を生み出し、ディレイタイムが短い場合(100 msより小さい場合)はサウンドに色付けをするために使用します。

Delayノブは、エフェクトによって加えられるディレイの量を秒単位で調整します。このノブを時計回りに回すとディレイが長くなります。Feedbackパラメーターは、ディレイラインの終端で信号に適用される0〜1の範囲のゲイン係数です。これにより、フィードバックループに再注入される信号の量をコントロールします。ノブを左いっぱいに回した位置ではこのパラメーターの値は0で、ディレイラインには信号が再注入されないため、信号は1回だけ遅延されます。ノブを時計回りに回すと、フィードバックループの終端で再注入される信号の量が増えるため、所定のディレイタイムに対するエコーの長さをコントロールできます。右いっぱいに回した位置ではゲイン係数が1となり、すべての信号がフィードバックループに再注入され、エコーが止まらなくなります。このゲイン係数に加えて、フィードバックループに再注入される信号にはローパスフィルターをかけることもできます。このフィルターのカットオフ周波数はCutoffノブでコントロールします。

Panノブは、入力信号の左右チャンネルへのバランスを調整します。左いっぱいに回した位置では、信号は左のディレイラインにのみ送られ、はっきりとしたエコーがまず左チャンネルから、次に右チャンネルから……と交互に聞こえます。右いっぱいに回した位置でも同様の動作になりますが、最初のエコーは右チャンネルから聞こえます。この両端の位置が一般的なピンポン効果に相当しますが、中間の位置を選ぶと、より穏やかな効果が得られます。特にPanノブが中央の位置では、両チャンネルに同じ量の信号が送られます。

Delayモジュールの出力信号には、入力信号(ドライ)と遅延信号(ウェット)を混ぜることができます。WetノブとDryノブで、最終出力における各成分の振幅を調整します。各成分の振幅は、対応するノブを時計回りに回すと、信号なしの状態から+6 dBまで大きくなります。なお、WetパラメーターはPlayビューからも調整できます。


4.4.4 ディストーション(Distortion)

マルチエフェクトモジュールには3種類のディストーションがあり、Shapeセレクターノブで選択します。Warm Tubeは、入力信号になめらかな対称型のウェーブシェイピングを施し、信号に奇数次倍音を加えます。MetalはWarm Tubeに似ていますが、わずかに非対称であるため、信号に偶数次と奇数次の倍音が加わります。Solid Stateは、信号に強い対称型のクリッピングを施して高次倍音を加え、荒々しいサウンドを生み出します。

Driveコントロールは、入力信号に作用するゲインノブです。このパラメーターは、信号に適用されるディストーションカーブの非線形部分に信号がどれだけ早く到達するかをコントロールすることで、信号に加わる歪みの量を調整します。左いっぱいに回した位置では、入力信号の振幅は−6 dB減衰されます。このノブを時計回りに回すと振幅が大きくなります。なお、DriveパラメーターはPlayビューからも調整できます。

Toneノブは、ディストーション処理を施した後の信号の音色を調整します。左いっぱいに回した位置では信号の高域が減衰され、右いっぱいに回した位置では信号から低域がカットされます。中央の位置では、信号は変化しません。

Volumeノブは、歪んだ信号の振幅に作用するゲインノブです。最後に、Mixノブで、Distortionモジュールの最終出力信号に含まれるドライ信号とウェット(歪んだ)信号の量をコントロールします。左いっぱいに回した位置では出力はドライ信号のみ、右いっぱいに回した位置では歪んだ信号のみが聞こえます。中央の位置では、出力に含まれるドライ信号とウェット信号は同量になります。


4.4.5 コーラス(Chorus)

コーラス効果は、1つの音源を、ユニゾンで演奏する多数の似た音源のように聞かせるために使用します。同じパートを演奏する複数の奏者の間に生じる、タイミングとピッチのわずかなばらつきをシミュレートするものです。図26に示すように、原音信号にディレイラインの出力から得られる遅延信号を混ぜることで、この効果が得られます。コーラス効果の場合、遅延信号が独立したエコーとして聞こえるのではなく原音に溶け込むよう、ディレイラインの長さは短くする必要があります。ディレイラインの長さを変調すると、ボイス間にわずかなピッチのずれが感じられるようになります。

図26:Chorusモジュール

パラメーターの調整(Tuning)

ディレイラインの長さの変調量は、Depthノブで調整します。左の位置では変調はなく、ディレイラインの長さは一定のままです。ノブを右に回すとディレイラインの長さが揺れ始め、時計回りに回すほどその揺れ幅が大きくなり、各ボイスのデチューン量が大きくなります。変調の周波数はRateノブで設定します。

Phatボタンは、コーラス効果のボイス数をコントロールします。このボタンをオンにするとボイス数が増えます。Spreadノブは、ステレオ音場における各ボイスの広がり具合を調整します。左いっぱいに回した位置では、各チャンネルに左右の出力信号が同量ずつ含まれます。つまり、両チャンネルの信号は同じになります。右いっぱいに回した位置では、チャンネルは完全に分離され、コーラスの左出力は左チャンネルにのみ、右出力は右チャンネルにのみ送られます。最後に、Mixノブでドライ信号とウェット信号を混ぜることができます。左いっぱいに回した位置ではコーラスからの出力信号はなく、ドライの入力信号のみが聞こえます。右いっぱいに回した位置では、コーラスモジュールからのウェット信号のみが聞こえます。中央の位置では、モジュールの出力信号に含まれるドライ信号とウェット信号は同量になります。


4.4.6 フランジャー(Flanger)

Flangerモジュールは、フランジングと呼ばれる効果を実現します。これは、遅延時間が変化する信号を原音信号に加えることで生じる擬似的なピッチ効果によって、サウンドに色付けをするものです。

このモジュールに実装されているアルゴリズムを図27に示します。入力信号は可変ディレイラインに送られます。このディレイの出力はドライ信号と混ぜられ、フィードバック係数を掛けてディレイラインに再注入されます。

図27:Flangerのアルゴリズム

Flangerモジュールの効果は、図28に示すように、基本周波数の奇数倍の間隔に位置する周波数で、入力信号のスペクトルに減衰(リジェクション)を生じさせることです。基本周波数f0の位置と、周波数特性の谷と山の間隔はディレイラインの長さによって決まります(f0 = 1/(2 × delay))。ディレイが長いほどf0は低くなり、倍音の間隔は狭くなります。逆にディレイを短くするとf0が高くなり、倍音の間隔が広がります。

図28:Flangerモジュールの周波数特性。ディレイラインの長さによる影響

効果のかかり具合は、図29に示すように、ウェット信号とドライ信号を混ぜる比率で決まります。出力に送るウェット信号の量を増やすほど、減衰量が大きくなります。最後に、Flangerモジュールの周波数特性の形状は、図30に示すように、フィードバックループに再注入されるウェット信号の量によっても変化します。フィードバックを増やすと、ディレイラインの影響を最も受けにくい、基本周波数の偶数倍の間隔に位置する周波数成分が強調されます。フィードバックを増やすほどこれらのピークが鋭くなり、信号のピッチが変化したように聞こえます。

図29:ウェット信号とドライ信号のミックスがFlangerモジュールの周波数特性に与える影響

図30:フィードバック量がFlangerモジュールの周波数特性に与える影響

パラメーターの調整(Tuning)

ディレイの長さは、Delayノブでミリ秒単位で調整します。このディレイの長さは、Depthノブの設定に応じた量だけ変調できます。左の位置では変調はなく、ディレイラインの長さは一定のままです。ノブを右に回すとディレイラインの長さが揺れ始め、時計回りに回すほどその揺れ幅が大きくなります。揺れの周波数はRateノブで設定します。Feedbackノブは、ディレイに再注入されるウェット信号の比率を設定するゲインノブです。最後に、Mixノブで、モジュールの出力信号に含まれるドライ信号とウェット信号の量を決めます。このノブを左いっぱいに回した位置ではドライ信号のみが、中央の位置ではドライ信号とウェット信号が同量ずつ、右いっぱいに回した位置ではウェット信号のみが出力に送られます。なお、DepthパラメーターはPlayビューからも調整できます。


4.4.7 フェイザー(Phaser)

Phaserモジュールは、フェイジングと呼ばれる効果を実現します。これは、信号のスペクトルから周波数帯域を取り除くことで、信号に色付けをするものです。オールパスフィルターを使って信号の各周波数成分の位相を変化させ、この新しい信号を原音信号に加えることで、この効果が得られます。

このモジュールに実装されているアルゴリズムを図31に示します。入力信号は可変オールパスフィルターに送られます。このウェット信号は、元のドライ信号とミックスされます。フィードバックラインにより、ミックス後の信号をフィルターに再注入できます。Phaserモジュールの効果は、フィルターの設定に応じて、入力信号のスペクトルに減衰(リジェクション)を生じさせることです。

図31:Phaserのアルゴリズム

オールパスフィルターは、信号の各周波数成分を、周波数が高くなるほど大きくなる遅延量で遅らせることで信号を変化させます。図32に示すように、この位相の変化により、ウェット信号を元のドライ信号とミックスしたときに一定の打ち消し合いが生じます。減衰が最大になるのは、位相の遅れが180度に等しく、ある成分が原音信号の成分と逆相になるときです。図32に示すように、効果のかかり具合は、ウェット信号とドライ信号を混ぜる比率で決まります。出力に送るウェット信号の量を減らすほど、減衰量が大きくなります。

(訳注:原文では「ウェット信号の量を減らすほど減衰量が大きくなる」と記載されていますが、Flangerの説明(ウェット信号を増やすほど減衰量が大きくなる)と逆になっています。原文のまま訳出しています。)

Phaserモジュールの周波数特性の形状は、フィードバックループに再注入されるウェット信号の量によっても変化します。フィードバックを増やすと、オールパスフィルターの影響を最も受けにくい周波数成分が強調されます。フィードバックを増やすほど、これらのピークは鋭くなります。Phaserの動作はFlangerモジュールとよく似ています。ただしフィルター効果は異なり、Phaserモジュールでは減衰が生じるのは限られた数の周波数の周辺のみで、しかもそれらの周波数は倍音関係にはありません。

図32:Phaserモジュールの周波数特性。ウェット信号とドライ信号のミックスが周波数特性に与える影響

パラメーターの調整(Tuning)

モジュールの周波数特性における最初のノッチの位置は、Frequencyノブで調整します。この周波数は、Depthノブで設定した量だけ変調できます。左いっぱいに回した位置では最初のノッチの位置は固定されていますが、Depthノブを時計回りに回すとノッチの位置が揺れ始め、回すほどその揺れ幅が大きくなります。変調の周波数はRateノブでコントロールします。Feedbackノブは、ディレイに再注入されるウェット信号の量を設定します。最後に、Mixノブで、出力に送るドライ信号とウェット信号の量を決めます。このノブを左の位置にするとドライ信号のみが、中央の位置ではドライ信号とウェット信号が同量ずつ、右の位置ではウェット信号のみが出力に送られます。


4.4.8 ワウワウ(Wah Wah)

マルチエフェクトモジュールには、ワウワウ(Wah Wah)とオートワウ(Auto Wah)の2種類のワウエフェクトがあります。これらのエフェクトは、バンドパスフィルターを使って、変化する中心周波数の周辺の周波数帯域を強調するものです。ワウワウでは、バンドパスフィルターの中心周波数がユーザーの設定したレートで変化します。オートワウの場合は、中心周波数の変化が入力信号の振幅エンベロープによってコントロールされます。

Freqノブは、フィルターの中心周波数をコントロールします。このノブを時計回りに回すと中心周波数が高くなります。Wah Wahでは、中心周波数はFreqノブで設定した値を中心に揺れます。Auto Wahでは、Freqの設定値が、変化する中心周波数の開始点になります。

Depthノブは、フィルターの中心周波数の変化幅をコントロールします。Wah Wahでは、この変化幅はFreqノブで設定した値を中心に適用されます。Auto Wahでは、中心周波数はFreqノブで設定した値から上昇します。このノブを時計回りに回すと、中心周波数の変化幅が大きくなります。なお、DepthパラメーターはPlayビューからも調整できます。

Rateノブは、フィルターの中心周波数を変調する周波数(レート)をコントロールします。Wah Wahでは、このノブを時計回りに回すと変調のレートが速くなります。Auto Wahの場合、このノブはSpeedと表示され、エンベロープフォロワーの時定数をコントロールします。このノブを時計回りに回すと、エンベロープフォロワーの時定数、つまり反応時間が短くなります。

Mixノブでドライ信号とウェット信号を混ぜることができます。左いっぱいに回した位置ではエフェクトからの出力信号はなく、ドライの入力信号のみが聞こえます。右いっぱいに回した位置では、モジュールからのウェット信号のみが聞こえます。中央の位置では、モジュールの出力信号に含まれるドライ信号とウェット信号は同量になります。最後に、Outputノブでこのモジュールの出力レベルを調整します。


4.4.9 ノッチフィルター(Notch Filter)

Notch Filterは、基本的にバンドパスフィルターと逆の働きをします。図33に示すように、中心周波数の周辺の帯域にある周波数を減衰させ、帯域外の周波数はそのまま通します。Wah Wahと同様に、このフィルターも変調できます。

Freqノブは、フィルターの中心周波数をコントロールします。このノブを時計回りに回すと中心周波数が高くなります。Depthノブは、フィルターの中心周波数がその中心値の周辺で変化する幅をコントロールします。このノブを時計回りに回すと、中心周波数の変化幅が大きくなります。最後に、Rateノブは、フィルターの中心周波数を変調する周波数(レート)をコントロールします。このノブを時計回りに回すと変調のレートが速くなります。なお、DepthパラメーターはPlayビューからも調整できます。

図33:ノッチフィルターの周波数特性

Mixノブでドライ信号とウェット信号を混ぜることができます。左いっぱいに回した位置ではコーラスからの出力信号はなく、ドライの入力信号のみが聞こえます。右いっぱいに回した位置では、コーラスモジュールからのウェット信号のみが聞こえます。中央の位置では、モジュールの出力信号に含まれるドライ信号とウェット信号は同量になります。最後に、Outputノブでこのモジュールの出力レベルを調整します。

(訳注:原文ではこの段落で「コーラス」と記載されていますが、Chorusモジュールの説明文を流用したものと思われます。Notch Filterモジュールの出力信号・ウェット信号と読み替えてください。)


4.4.10 ギターアンプ(Guitar Amplifier)

Guitar Amplifierモジュールは、スピーカーキャビネットとスプリングリバーブを備えた、多用途な2チャンネルアンプです。比較的少ないパラメーターで、さまざまな音楽スタイルに合わせた多彩なサウンドを得ることができます。

このモジュールのアンプセクションは、モジュール左側のAmpと表示されたセクションの右上にあるLEDをクリックしてオン / オフします。Channel LEDで、アンプの2つのチャンネルを切り替えます。チャンネル1はクリーンからやや歪んだサウンド、チャンネル2は強い歪みが必要なときに適しています。Driveノブはサウンドの歪みの量を調整します。ノブを時計回りに回すほど、サウンドの歪みが強くなります。Midノブはサウンドの中域の量を設定します。中央の位置ではサウンドは変化せず、ノブを左または右に回すと、中域が最大±12 dBカットまたはブーストされます。Levelノブは、アンプの全体音量を調整するゲインノブです。なお、このコントロールがアンプの周波数特性に与える影響は、チャンネルごとに異なります。

LowパラメーターとHighパラメーターは、ノブを中央の位置から回すことで、それぞれ低域と高域を最大±18 dBブーストまたはカットします。これらのコントロールは、どちらのチャンネルでも同様に動作します。周波数特性をさらに調整するには、Biteコントロールを使用します。これはチャンネルセレクターのすぐ手前にあるBite LEDをクリックしてオン / オフします。このパラメーターは、高域をブーストしつつ低域を一部カットして、より明るいサウンドにします。

ローカット(ハイパス)フィルターは、楽器の出力サウンドから、カットオフ周波数より下の周波数成分を取り除くために使用します。ノブを時計回りに回すと、フィルターのカットオフ周波数が高くなります。このノブが左いっぱいの位置では、フィルターはサウンドに影響しません。

スプリングリバーブは、Springと表示されたセクションの右上にあるスプリングLEDでオン / オフします。Mixノブでミックスに含まれるウェット信号の量を設定します。ノブを時計回りに回すと、信号に含まれる残響の量が増えます。

最後に、スピーカーキャビネットは、モジュールのキャビネットセクションの右上にあるLEDをクリックしてオン / オフします。モジュールのこの部分は、スピーカーとキャビネットの両方がアンプモジュールの周波数特性に与える影響をシミュレートします。Typeセレクターで、キャビネットの背面を開放型(open)または密閉型(closed)にできます。キャビネットの背面を開放すると、キャビネット背面から出る音波が前面から出る音波と干渉し、より色付けの強いサウンドになります。


4.4.11 トレモロ(Tremolo)

Tremoloモジュールは、サウンドの振幅を変調するために使用します。Rateノブで変調の速さ(周波数)をコントロールし、Depthノブでその振幅をコントロールします。Waveformノブで、サウンドの変調に使用する波形の形状を変更します。左いっぱいに回した位置では三角波で、時計回りに回すにつれて、なめらかな矩形波へと変化します。Stereoボタンでステレオモードとモノモードを切り替えます。ボタンがオンのときはステレオモードになり、出力信号は左右チャンネル間で180度の位相差をもって揺れます。モノモード(ボタンがオフ)では、左右チャンネルの信号は同じになります。


4.4.12 リバーブ(Reverb)

Reverbモジュールは、部屋やホールの壁で音が反射する効果を再現するために使用します。これらの反射音はサウンドに空間を与え、より暖かく深みのある、よりリアルなサウンドにします。私たちは常に部屋の中で、つまり室内の響きとともに楽器を聴いているためです。このモジュールは、信号の流れにおいてエフェクトチェーンの最後尾に位置しています。

ルームエフェクトのインパルスレスポンス(Impulse Response of a Room)

部屋の響きを評価する最もよい方法は、手を叩いてその音を聴いてみることです。図34は、部屋のインパルスレスポンスの振幅を時間に対して示したものです。応答の最初の部分は手を叩いた音そのもの、つまり直接音で、残りの部分が部屋の響きです。部屋の響きはさらに2つの部分に分けられます。直接音に続いて、いくつかのエコーが観察されます。エコーの間隔は次第に詰まっていき、やがて個々に区別できなくなり、指数関数的に減衰する信号とみなせるようになります。部屋の応答の前半部分を初期反射(early reflexion)、後半部分を後期残響(late reverberation)と呼びます。部屋の応答全体の長さを残響時間(RT:reverberation time)と呼びます。

図34:部屋のインパルスレスポンス

ルームエフェクトの調整(Adjusting the room effect)

部屋の大きさは、残響効果に大きく影響します。Sizeセレクターで、Studio、Club、Hall、Large Hallの設定から選択します。それぞれ、小さいものから大きいものまで異なる容積の空間を再現します。

残響時間の長さは、部屋の大きさと壁の吸音率の両方によって決まり、吸音率はDecayノブでコントロールします。実際の部屋では、残響時間は周波数帯域全体で一定ではありません。壁は超低域と高域をより多く吸収することが多いため、これらの周波数では残響時間が短くなります。これらのパラメーターは、それぞれLowノブとHighノブで調整します。

部屋の響きに影響するもう1つのパラメーターは、部屋の形状です。部屋の形状が複雑なほど、単位時間あたりに観測される反射の数が多くなります。この量は時間密度(time density)と呼ばれ、Diffusionノブで設定できます。コンサートホールでは、響きのよくない部屋に特有の、個々に分離したエコーが聞こえないよう、時間密度はかなり高いことが望まれます。

部屋での聴こえ方に影響する最後のパラメーターは、音源と聴き手の距離です。部屋の響きは音源と聴き手の位置にかかわらずほぼ一定ですが、直接音(音源から直接届く音)は聴き手の位置に大きく左右されます。音源から離れるほど、部屋の響きに対して直接音は小さくなります。直接音と部屋の響きの比率はMixノブで調整します。言い換えると、このノブで音源と聴き手の間の距離感を調整します。左いっぱいに回した位置では直接音のみが聞こえ、右いっぱいに回すと部屋の響きのみが聞こえます。なお、MixパラメーターはPlayビューからも調整できます。

スタジオミックス(Studio Mix)

モジュール左側にあるStudio Mixノブは、サウンドにさりげないリバーブ効果を加えるために使用します。この効果に使われるリバーブプリセットは変更できず、Reverbモジュールのほかのパラメーターで調整するリバーブ効果とは完全に独立しています。このノブによるリバーブは、Reverbモジュールがオフのときでも常に有効です。Studio Mixノブは、信号に含まれるウェット成分とドライ成分の量を調整するミックスノブです。左いっぱいに回した位置では出力はドライ信号のみ、右いっぱいに回した位置では、このリバーブプリセットで処理された入力信号のみが聞こえます。中央の位置では、出力に含まれるドライ信号とウェット信号は同量になります。


4.4.13 出力ゲイン

適切なゲインステージングを確保するために、メゾフォルテ(やや強め)で音楽的なフレーズを演奏したとき、Effectsセクションの出力レベル、つまりエフェクト後(post-effects)の信号レベルが0〜+4 dBrの範囲に収まるようにしてください。もちろん、エフェクト前(pre-effects)のレベルも正しく調整されていることが前提です。これは、各エフェクトモジュールのさまざまなゲインを使って実現できるはずですが、それが難しい場合に備えて追加のゲインパラメーターが用意されています。このゲインは、Reverbモジュールの右側にあるOutputノブでコントロールします。

Outputノブのすぐ上にあるカラーLEDは、信号経路のこのポイントにおけるレベルの目安を示します。このLEDは、信号が0〜+4 dBrの範囲にあるとき明るい緑色に点灯します。出力レベルが上がるにつれて、黄色、さらに赤色に変わります。より正確に読み取るには、このLEDをクリックするとレベルメーターが表示されます。もう一度このLEDをクリックすると非表示になります。全般的なレベルとレベルメーターの詳細については、5.5.1節を参照してください。


4.4.14 ユニティゲイン(Unity Gain)

理想的には、エフェクトモジュールはユニティゲインになるように調整してください。つまり、入力レベルと出力レベルが等しくなるように、言い換えると、モジュールをオン / オフしてもエフェクトチェーンの出力音量が変化しないように調整します。これは、各モジュールに用意されているゲインパラメーターで実現できるはずです。一部のエフェクトモジュールには、より柔軟に調整できるよう追加のゲインパラメーターが用意されており、モジュールの右下に表示されます。このゲインは、ゲイン値(dB)をクリックして新しい値を手入力することで調整します。


参照元情報:AAS String Studio VS-3 user manual
https://www.applied-acoustics.com/string-studio-vs-3/manual/