Precision Delay Modulationは、トラッキングとミキシングのためのモダンで高品質な制作ツールを提供するPrecision Mix Rack Collectionの一部です。Precision Mix Rack Collectionには、以下のUADプラグインが含まれます。
Precision Delay Modulationのプラグイン
Precision Delay ModとPrecision Delay Mod L(Long)は、それぞれ独立した2つのプラグインです。ただし、両者はまったく同一のコントロール構成を持ち、操作方法も同じです。
2つのプラグインの唯一の違いは、Precision Delay Mod Lの方がより長いディレイタイムに対応しており、拡張されたエコー効果が得られる点です。この長いディレイタイムを実現するには、より多くのUAD-2メモリリソースが必要になります。1秒を超えるディレイタイムが必要な場合は、Precision Delay Mod Lを使用してください。
注:本章のコントロールに関する記述は、特に明記のない限り、Precision Delay ModとPrecision Delay Mod Longの両プラグインに共通して当てはまります。
Precision Delay Modには、AおよびBという2つのディレイ・プロセッサーがあります。これらのディレイラインは、Dual(デュアル)、Crossover(クロスオーバー)、Ping Pong(ピンポン)、Chorus(コーラス)、Flanger(フランジャー)という5つの異なるモードで構成できます。
各ディレイラインは独立したディレイタイムを持ち、使用可能なディレイタイムの範囲は選択中のモードによって異なります。フィルター(ハイパス/ローパス)とリサーキュレーション(フィードバック)の各コントロールは1系統のみで、両方のディレイで共有されます。ディレイタイムはホスト・アプリケーションのテンポに同期させることができます。
ステレオ出力構成で使用する場合、ディレイAとBの出力はステレオ・フィールド内でそれぞれ独立してパンニングできます。モノラル出力構成で使用する場合、ディレイAとBはそれぞれ独立した出力レベル・コントロールを持ちます。
各ディレイラインには、ディレイタイムをモジュレーションするためのLFO(低周波オシレーター)が備わっています。モジュレーション・コントロールは1系統のみで、両方のディレイラインで共有されます。サインおよびトライアングルのLFO波形が用意されており、2つのLFO間の位相オフセットを変更することでさまざまなモジュレーション効果が得られます。モジュレーションのタイミングはホスト・アプリケーションのテンポに同期させることができます。
本セクションのコントロールの説明については、下記の図を参照してください。
Modeは、プラグインの基本となるトポロジーと、使用可能なディレイタイムの範囲を決定します。モードの変更は、以下のいずれかの方法で行います。
5つのモードが用意されており、それぞれ以下のとおりです。
DUAL DELAYモードでは、リサーキュレートされた信号は、ディレイラインの出力から同じディレイラインの入力へルーティングされます。
XOVR DELAYモードでは、リサーキュレートされた信号は、ディレイラインの出力から反対側のディレイラインの入力へルーティングされます。
PING PONGモードでは、入力はディレイAのみにルーティングされ、ディレイAの出力がディレイBの入力へルーティングされます。RecirculateはディレイBからディレイAへのフィードバック・レベルを調整します。
ChorusはDual Delayと同じトポロジーですが、コーラス効果に適した短いディレイタイム範囲を持ちます。
FlangerはDual Delayと同じトポロジーですが、フランジング効果に適した非常に短いディレイタイム範囲を持ちます。
これらのボタンは、ディレイラインの入力信号をミュートします。「M」ボタンが点灯しているとき、そのディレイの入力はミュートされています。
片方または両方のディレイ入力をミュートすることで(手動またはオートメーションによる)、特定の音楽的・パーカッシブなパッセージにのみ効果を「トリガー」させる、といった創造的な使い方が可能です。
このコントロールは、プロセッサーのディレイタイムを設定します。ディレイラインAとBは、それぞれ個別の値を設定できます。
使用可能なディレイ値の最小値は0.14ミリ秒です。最大値はプラグインおよび現在選択中のModeによって異なります。すべてのモードと両プラグインにおける最大ディレイ値は、下表のとおりです。
注:モードを切り替えた際、新しいモードの最大ディレイタイムが現在のDelay値より短い場合、それまでのDelay値は失われます。
| モード | Precision Delay Mod | Precision Delay Mod L |
|---|---|---|
| Dual Delay | 1秒 | 3秒 |
| Crossover Delay | 1秒 | 3秒 |
| Ping Pong | 1秒 | 3秒 |
| Chorus | 125ミリ秒 | |
| Flanger | 45ミリ秒 | |
LinkボタンはDelay A、Bのタイムノブと、Mute A、Bボタンを連結します。ボタンが点灯しているとき、Linkは有効です。
連結時は、片方のディレイタイム・ノブを変更すると、もう片方のディレイタイム・ノブも追従します。2つの値の間のオフセットは維持されます。
このノブは、ディレイ信号のモジュレーション・レートを設定します。使用可能な範囲は0~30Hzです。SYNCが有効な場合、Rateはホスト・アプリケーションのテンポに同期します。
ヒント:「OFF」ラベルをクリックすると、モジュレーションをすばやく無効にできます。
このノブは、ディレイ信号のモジュレーション・デプスを設定します。使用可能な範囲は0~100%です。
注:DepthはRateがゼロ以外の値に設定されている場合にのみ効果が現れます。
このメニューは、ディレイ信号のモジュレーションに使用するLFO(低周波オシレーター)の波形と位相を定義します。LFOの変更は、以下のいずれかの方法で行います。
波形はトライアングルまたはサインに設定でき、それぞれ0度、90度、180度の位相値を選択できます。
Syncを有効にすると、ディレイタイムとモジュレーション・レートがホストのテンポに同期します。ボタンが点灯しているとき、Syncは有効です。デフォルトではSyncは無効です。
Syncがオフの場合、ディレイタイムはミリ秒単位、モジュレーション・レートはヘルツ単位で表示されます。Syncがオンの場合、ディレイタイムとモジュレーション・レートは分数拍/小節値として表示されます。
注:この機能の詳細については、UAD System Manualの「Tempo Synchronization」の章を参照してください。
Recirculation(フィードバック)は、入力へルーティングして戻すディレイ信号の量をコントロールします。値を高くするほど、処理された信号のディレイ回数と強度が増加します。
Recirculationは正負両方の値を取ることができます。正の値では、フィードバック信号の極性は元のソース信号と同位相になります。負の値では、フィードバック信号の極性は反転します。
ヒント:「0」ラベルをクリックすると、リサーキュレーションをすばやく無効にできます。
Dual Delay、Crossover Delay、Ping Pongの各モードでは、リサーキュレーションの値はT60タイム(信号が60dB減衰するまでの時間)として表示されます。ChorusとFlangerモードでは、値はパーセンテージとして表示されます。
12dB/オクターブのハイパス(ローカット)フィルターは、ディレイへの入力信号の低域を減衰させます。このフィルターはディレイ(ウェット)信号のみに作用します。使用可能な周波数範囲は20Hz~22kHzです。
ノブを右に回すと、ディレイライン内の低域が減衰します。フィルターは、ノブを反時計回りに完全に回した位置で無効になります。
ヒント:「OFF」ラベルをクリックすると、フィルターをすばやく無効にできます。もう一度クリックすると、以前の値に戻ります。
6dB/オクターブのローパス(ハイカット)ダンピング・フィルターは、ディレイへの入力信号の高域を減衰させます。このフィルターはディレイ(ウェット)信号のみに作用します。使用可能な周波数範囲は20Hz~22kHzです。
ノブを左に回すと、ディレイライン内の高域が減衰します。フィルターは、ノブを時計回りに完全に回した位置で無効になります。
ヒント:「OFF」ラベルをクリックすると、フィルターをすばやく無効にできます。もう一度クリックすると、以前の値に戻ります。
本セクションのコントロールの説明については、下記の図を参照してください。
Mixは、原音と処理後の信号のバランスをコントロールします。範囲は0%(ドライ、未処理)から100%(ウェット、処理後の信号のみ)です。
ヒント:「0」ラベルをクリックすると、すばやく値を0に設定できます。
Mixは正負両方の値を取ることができます。正の値では、処理後の信号の極性は元のソース信号と同位相になります。負の値では、処理後の信号の極性は反転します。
注:Wet Soloが有効な場合、Mixの値は無視されます。
Wet Soloボタンは、プラグインを「100%ウェット」モードにします。Wet Soloが有効な場合(「S」ボタンが点灯しているとき)、Mixコントロールを100%ウェットに設定した状態と同等になります。Wet Soloが有効な場合、Mixの値は無視されます。
Wet Soloは通常、プラグインをチャンネル・センドで使用するように構成されたエフェクト・グループ/バスに配置する「クラシック」なディレイ構成で使用されます。プラグインをチャンネル・インサートなど信号チェーン内で直接使用する場合、このコントロールは通常無効化されます。
注:Wet Soloはグローバル(プラグイン・インスタンスごと)なコントロールです。
プラグインをステレオ出力構成で使用する場合、これらのノブは「PAN」というラベルになり、ステレオ・パノラマ・フィールド内における各ディレイラインの出力の位置を決定します。
ヒント:「0」ラベルをクリックすると、信号をすばやくステレオ・フィールドの中央に配置できます。
Pan Linkが有効な場合(「L」ボタンが点灯しているとき)、Pan AとPan Bのノブが連結され、ステレオ・パノラマ・フィールド内でのディレイライン出力の位置をすばやく狭めたり広げたりできます。
注:プラグインをモノラル出力構成で使用する場合、このボタンは無効になります。
プラグインをモノラル出力構成で使用する場合、これらのノブは「GAIN」というラベルになり、各ディレイラインの出力レベルを決定します。
注:Gain A、Bのコントロールは連結できません。
モノラル出力構成で使用する場合でも、これらのコントロールのオートメーション・ラベルは「Pan」のままです。
このノブは、プラグインの出力レベルを調整します。使用可能な範囲は-25dB~+15dBです。
ヒント:「0」をクリックすると、すばやく値を0dBに設定できます。
Powerはプラグインのバイパス・コントロールです。OFFに設定すると、すべてのパラメーターとメーターの値は表示されなくなり、UAロゴが暗くなります。
ヒント:UAダイヤモンド・ロゴをクリックすることでも、Powerを切り替えることができます。
Powerは、処理後の設定と原音を比較する際に便利です。ホスト・アプリケーションのプラグイン無効化スイッチはオーディオ・アーティファクトが発生することがありますが、Powerスイッチはグリッチのないバイパスを提供します。
UAD v8.2以降、Precision Delay Modulationは従来のDM-1およびDM-1Lプラグインに置き換わりました。DM-1/DM-1Lを含むセッションをUAD v8.2以降で開くと、DM-1/DM-1Lのプラグイン・インスタンスと設定は自動的に新しいPrecision Delay Modulationへ移行されます。
DM-1/DM-1Lの移行の扱いについての詳細は、CS-1の章にある「Migrating Prior Sessions」を参照してください。
参照元情報:Precision Delay Modulation Manual
https://help.uaudio.com/hc/en-us/articles/33536359160212