Apogeeマイクプリ技術に隠された秘密

Apogeeマイクプリ技術に隠された秘密

Apogeeのエンジニア達は、長年にわたり次世代の革新的なテクノロジーであるAdvanced Stepped Gain Architecture(アドバンスド・ステップド・ゲイン・アーキテクチャー)の開発に取り組んできました。伝統的なNeveスタイルの回路に現代的なデザインと柔軟性と透明性を融合させた、革新的なマイクプリアンプテクノロジーです。

これはApogeeインターフェイスの「秘密のソース」とも言えるテクノロジーです。

現在、ほとんどのオーディオ・ インターフェイスが、プリアンプとして1つの汎用チップを使用するように設計されています。このチップはゲインステージとパッドスイッチ、ゲインフェーダーといったいくつかのコントロールが、固定化されたハードウェア回路で構成されています。これらの汎用チップは比較的安価であり、メーカーにとっても導入しやすいことは確かです。


一般的な汎用チップによるマイクプリのゲインステージ


では、この設計で本物のマイクプリアンプが要求するレベルを満たすことができるでしょうか。キックドラムのコンデンサーマイクからヴァイオリンのリボンマイクまで、途方もなく広いゲインレンジを低ノイズ、低歪みで実現する。実際問題として、このような初歩的な設計では、特に激しいドラムの音や繊細なギターのピッキングなど、極端に広いゲインレンジでは苦戦を強いられることは明白です。

では、どのようにすればマイクプリを最大限に活用し、より高いパフォーマンスを発揮させることができるのでしょうか?Apogeeは他と何が違うのでしょうか?

秘密のソース

Apogeeはあらゆるオーディオ・インターフェイスの中で最高のパフォーマンスを実現するために、内蔵マイクプリアンプにはハイエンドを目指した設計アプローチをとっています。ApogeeのAdvanced Stepped Gain Architecture™は、異なるゲイン設定において動的に最適化される回路を特徴としており、0~75dBという前例のないゲインレンジにわたって優れた帯域レンジと、超低ノイズ、歪みのない音質を実現しています。

Advanced Stepped Gain Architectureのゲインステージ

Advanced Stepped Gain Architectureは、例えれば精密なチューニングを施されたレーシングカーのようなものです。

S字カーブを低速で通過するときも、直線コースをトップスピードで駆け抜けるときも、エンジンが最適なトルクと回転数で動作するように、ドライブトレーンを根本的に変更するいくつものギアが搭載されており、ドライバーが望むスピードに適応させることができます。より実感しやすいように、2つのギアしかない車を想像してみてください。明らかにこの車は、どんな道でもある時点で困った場面に遭遇することでしょう。

Advanced Stepped Gain Architectureもこれと同様に、必要とされるゲインに関わらず最適な回路性能、つまり低ノイズと低歪みを維持するよう動作します。デジタル制御されたアナログスイッチが各ゲイン設定で回路の「ギアをシフト」することで、最高のサウンドとパフォーマンスを確保します。他のマイクプリは極端なゲインで苦戦する、本質的に「2つのギア」のような回路です。



最高のサウンドとパフォーマンスを維持するため、各ゲインステージにはそれぞれ専用の回路が設けられています。

これはNEVEのようなハイエンドのマイクプリアンプの設計であり、ゲイン調整に可変式のダイヤルではなく、ロータリー式の「ステップ」スイッチを使用する方法と似ています。Neveが優れたプリアンプの1つとして高く評価されてきた理由はこの技術にあるのです。音にカラーを加えることからNeveの使いどころは特定されるかもしれませんが、Apogeeは色付けをすることなく同じパフォーマンスを達成することができます。

Advanced Stepped Gainマイクプリのデザインと他の違いは、Apogeeインターフェースやコントロールソフトウェアでゲインを変更したときの回路の振る舞いにあります。マイクプリのゲインを0から75dBまで、1dBの分解能でシンプルかつ効率的に設定できるためパッドスイッチも必要ありません。舞台裏ではデジタル制御のアナログ・ルーティング・マトリックスがゲイン・ステージやその他の回路要素を切り替え、選択された特定のゲインに対して完璧なマイクプリを効率的に構築します。

高次元の違い



市場には他にステップゲインのオプションを備えた製品もありますが、Apogeeには既存のプリアンプを改良するチャンスがありました。上のチャートからわかるように、ほとんどのステップゲイン・プリアンプは、経年劣化を避けられない高価なロータリー・スイッチを採用しています。そしてこれらのプリアンプは、Advanced Stepped Gainの1dBステップよりも大きい5dB単位のステップとなっています。またマイクプリアンプ回路も最適化されてはおらず、ある時点でパフォーマンスやゲインに妥協せざるを得ません。

Advanced Stepped Gainは全てのゲインステージにおいて、より低いノイズと歪み、ゲインレンジを提供することができます。さらに「マイクプリ・オン・ザ・チップ」設計からも脱却し、ノイズのない動作は高い信頼性をもたらしてくれます。

圧倒的なコストパフォーマンス・マイクプリ

パワフルなドラム、ダイナミックなボーカル、繊細な弦楽器など、オリジナルパフォーマンスのインパクトや 繊細なディテールを余すところなくレコーディングすることができます。
Duet、Quartet、EnsembleそしてSymphony Mk IIマイクプリでも、Advanced Stepped Gain Architecture™を採用したマイクプリアンプが搭載されています。


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