SoundID Reference Measureでスピーカー間の距離は各スピーカーに近づきマイクをミッドレンジ・ドライバーに向けて測定します。これはRoom Evaluation=スピーカー測定プロセスの第2段階のステップで最初に確認する項目になります。
ミッドレンジ・ドライバーとは?なぜミッドレンジ・ドライバーに注意する必要があるのか
ミッドレンジ・ドライバーが重要となる理由は、マイクの定位を測るための信号が1kHz(1000Hz)に設定されているためです。1kHz付近の周波数帯は通常ミッドレンジ・ドライバーがカバーします。しかしスピーカーのドライバー/レイアウト構成は非常に多岐にわたり、どのドライバーがミッドレンジに使用されているか、すぐには判断できない場合があります。
スピーカードライバー構成の違い
どの位置にあるドライバーをミッドレンジドライバーとして扱うかについては、ドライバー数とその構成により異なります。下記を参照し測定を行ってください。
- 2ウェイ・スピーカー
- 3ウェイ・スピーカー
- 3ウェイ・ツインドライバーデザイン;垂直/水平仕様
- 4ウェイ・ドライバー(以上)のスピーカーについて
- ロケート信号B、Cの違いと理由
Room Evaluationステップのエラーのほとんどは使用するドライバーが原因ではありません。適正でない距離が測定される場合、サンプルレートやステレオフィールドの設定に関連するエラーの可能性があります。
2ウェイスピーカー
ドライバーは2つのみとシンプルで明快な基本構成のスピーカーです。ツイーターは広域をカバーし、ウーファーは低域〜中域をカバーします。ウーファーは1kHzをカバーしているため、ミッドレンジとしてここではウーファーを使用します
3ウェイスピーカー
3ウェイ構成では1kHzの周波数をカバーする専用のミッドレンジドライバーがあるためこれを使用します。
3ウェイ・ツインドライバーデザイン・スピーカー
この構成では状況が若干複雑になります。このスピーカーでは1本のツイーターと2本の同じ大きさのドライバーが用いられます。しかし同じ大きさであっても実は同じ帯域をカバーするわけではありません。
通常片方のドライバーが低域を、もう一方のドライバーが中域をカバーします。どちらが該当するかについてはお使いのモデルの製品マニュアルをご覧ください。
中域専用のドライバーを搭載したツインデザインのモデルは背面にAとBと書かれていることもあります。また下記EVE SC307のように、どちらの帯域にも対応しウーファードライバーとミッドレンジドライバーの構成を選択するための専用スイッチが付いているものもあります。
縦型レイアウトでは、ミッドレンジドライバーを上に配置することが業界標準と言われますが、個人の好みの範疇としてミッドレンジ・ドライバーを下に配置するケースもあるでしょう。
特にパッシブスピーカーやHi-Fiスピーカーなどでは、ミッドレンジとウーファーのドライバー機能の選択/切り替えスイッチがない場合もあります。しかしこうした構成でも実際にはミッドレンジ用のドライバーがあるはずです。どちらがミッドレンジ・ドライバーに該当するかについてはスピーカーの製品マニュアルで確認してください。スタジオでの作業においてはミッドレンジドライバーを上にしてスピーカーを配置するのが標準となります。
側面にサブウーファーを内蔵した縦型のツインドライバー・デザインも同様の原理です。2つの同じ大きさのドライバーがそれぞれ異なる周波数帯域をカバーします。しかし縦型の場合はより詳細に、具体的なドライバーの周波数レンジを調べることをお勧めします。このタイプにおいても1kHzをカバーするドライバーに対して測定を行う必要があるためです。
測定時にエラーが発生する場合、後述するロケート信号B、Cを使用して再度測定を行ってください。
水平方向のレイアウトについては、ミッドレンジドライバーを内側(両ドライバーが最も近い位置)に配置することが業界標準となっています。
しかしこれも個人の嗜好や好みによる範疇となり、ミッドレンジドライバーを外側に配置することもあるでしょう。どちらのドライバーがミッドレンジに該当するかスピーカーの製品マニュアルで確認の上ミッドレンジドライバーのレイアウトを決定してから測定を行ってください。
中域専用のドライバーを搭載したツインデザインのモデルは背面にAとBと書かれていることもあります。また下記Focal Twin6 BEのように、どちらの帯域にも対応しウーファードライバーとミッドレンジドライバーの構成を選択するための専用スイッチが付いているものもあります。このレイアウトによって距離が変わるという点については注意が必要です。
4ウェイドライバー(またはそれ以上の)スピーカー
4ウェイドライバーにおいては、1kHz帯域専用のミッドレンジドライバーがある場合測定はシンプルになります。小さなツイーターと組み合わせてミッドレンジドライバーが構成されている場合はより小さいミッドレンジドライバーで測定するよう注意してください。
*スピーカー距離の測定では、標準の1kHzのロケート信号以外にも信号B・Cが用意されています。これらは基本的に複数のミッドレンジ・ドライバーで構成されたスピーカー用にオプションを追加した信号です。特定のミッドレンジ・ドライバーの周波数帯域に対応するため、B・C信号は標準の信号である1kHzと異なる周波数に設定されています。さらにルームの特性により標準の1kHz信号が許容範囲を超えて共鳴してしまう場合もロケート信号BまたはCを測定に使用してください。