iConnectivity: RTP-MIDIをEthernet/Wi-FIネットワークで設定する

iConnectivity: RTP-MIDIをEthernet/Wi-FIネットワークで設定する

mioXM、mioXL、MIDI4+(生産完了) そしてPlayAUDIO12には、Ethernet(イーサネット)端子が搭載されており、ネットワークを介して他のコンピューター、iOSデバイスとのMIDI信号の伝送が可能です。下記の手順で、設定を行なってください。

はじめに




MIDI接続の代表的なポートにDINがあります。DIN-MIDIソケットのペアにより1つのMIDIポートが形成され、各ポートは最大16のMIDIチャンネルを伝送できます。もちろん、ポートは増設することもできます。mioXMには4組のDIN-MIDIポートが搭載されており、それぞれに16チャンネルが割り当てられています。

MIDIの優れた点は、その信号をほとんどの端子で送受信できることであり、これはUSBでも同様です。USBは従来のDIN-MIDIよりも帯域幅が広く、1つのUSBジャックで最大16個のバーチャルMIDIポートをエミュレートすることができます。16組のDINジャックを作るよりも、はるかに効率的かつ安価です。USBの唯一の問題点は、ケーブルが比較的短くなければならないことで、これはステージや広いスタジオで演奏する際に大きな問題となります。もし複数のMIDIポートが使用可能で簡単に入手でき、信頼性の高い長いケーブルを使用できる別の規格があれば、それが理想でしょう。

iConnectivity mioXM、mioXL、MIDI4+(生産完了) そしてPlayAUDIO12には、イーサネット端子が搭載されています。iConnectivityのデバイスが単なるUSBインターフェイスではなく、イーサネット MIDIインターフェイとして動作させることが可能です。

RTP-MIDIについて

iConnectivityのイーサネットインターフェースは、RTP-MIDI(Real Time Protocol MIDI)というシステムを採用しています。これは、イーサネットやWi-fiなどの標準的なネットワーク上でMIDIを実行する方法です。RTP-MIDIは、MacBookやiOSデバイスに搭載され、WindowsコンピュータでもiConnectivityのRTP-MIDI専用のWindowsドライバで簡単に追加できます。すでにRTP-MIDIを実行できるシステム環境をお持ちの場合もあることでしょう。

イーサネットは非常に高速な伝送システムなので、USBと同様に複数のバーチャルMIDIポートを搭載することができます。現在のiConnectivityのEthernetインターフェイスは、それぞれ16チャンネルのバーチャルMIDIポートを4つ以上送受信することができます。さらに必要な場合は、ネットワークに別のインターフェイスを追加することで、毎回4つのバーチャルMIDIポートを追加することができます。また、RTP-MIDIにはレイテンシー補正機能が内蔵されているので、何台のMIDI機器を使用していてもタイミングを逃すことはありません。

接続方法

RTP-MIDIは、自宅のインターネット・ルーターや標準的なイーサネット・スイッチを介し通常のイーサネット・ケーブルを使用して動作します。iConnectivityのイーサネット・インターフェースをコンピュータのイーサネット・ジャックに直接接続することもできますが、柔軟性を高めるためにはイーサネット・スイッチ経由で接続した方が良いでしょう。特に、コンピュータを複数のインターフェイスに接続したい場合は、イーサネットスイッチを使用する必要があります。下図のようなNetgear製の良質なスイッチはわずか25ドル程度なので、購入する価値は十分にあります。

RTP-MIDIは、PLC / HomePlugアダプターでも動作します。これは、既存の電力システムを利用して、建物の壁にイーサネットを通すことができます。これを電源ソケットに直接差し込み、それぞれにイーサネットケーブルを接続すれば、ケーブルを1本も敷設することなく、スタジオ全体にイーサネットMIDIを流すことができます。煩雑なケーブルを床に置かずに済みます。複数のポートを備えるイーサネット・スイッチ機能を組み込んだHomePlugアダプタもあり、多少高くても投資する価値はあるでしょう。



 

MIDIネットワークの設定

すべての物理的なケーブルを接続した後は、ネットワークを設定しましょう。接続された全てのMIDIインターフェースに、"イーサネットを使うぞ "と伝える必要があります。RTP-MIDI言語では、これを「セッションの開始(Session Initiation)」と呼びます。初めての設定は多少時間を要するかもしれませんが、以下の手順に沿って進めてください。

注意:作業前に、ご利用のiConnectivityインターフェースがすべて最新のファームウェアをインストールしていることを確認してください。この作業を正しく行うためには、インターフェイスのファームウェアがバージョン2.0.1以上である必要があります。

下記の例では、iConnectivity mioXM(mio4)、PlayAUDIO 12をイーサネットケーブルでNetgear Ethernetスイッチに接続しています。

MIDI ネットワーク構成ウィンドウを開く

まず、RTP-MIDIセッション開始の画面を表示します。

macOS

アプリケーション>ユーティリティ>Audio Midi 設定 を開きます。



メニュー「ウィンドウ」>「MIDI スタジオを表示」をクリックします。


 
MIDI スタジオウィンドウで、ネットワークのアイコンをダブルクリックします。



または



MIDI Network Setupウィンドウが表示されます。

Windows

iConnectivityのRTP-MIDIドライバをインストールし、rtpMIDIアプリケーションを開きます。

MIDIネットワークセッションを開始する

初めてネットワークMIDI接続では、下記のような画面が表示されます。



左側のディレクトリエリアに、イーサネット対応のiConnectivityインターフェースがすべて表示されます。名前の形式は以下の通りです。

インターフェイス名 - シリアル番号の下3桁 - RTP-MIDIポート

同じモデルの2つのインターフェイスがあっても、それぞれが固有のエントリで表示されます。シリアルナンバーの下3桁でそれぞれのユニットを識別可能です。

iConnectivityインターフェイスにはそれぞれ4つの仮想RTP-MIDIポートがあり、ディレクトリにはインターフェイスごとに4つのポートがリストアップされています(末尾-01から-04の番号)。

上のスクリーンショットでは、PlayAUDIO 12とmioXM(mio4)のポートが表示されています。

ここに表示されていないインターフェースがある場合は、イーサネットケーブルが正しく接続されているか確認してください。

次に、使用したい各バーチャルMIDIポートにコンピュータを接続する必要があります。個々のネットワークMIDI接続は「セッション」と呼ばれます。

「セッション」の下にある「+」ボタンをクリックして、新しいネットワークMIDI接続を作成します。

デフォルトの名前は "Session 1 "となります。名前の左にあるボックスにチェックを入れて、アクティブにします。セッション1の名前をクリックして選択すると、ウィンドウの右側にこの接続に関する情報が表示されます。

右上には、この接続のベースとなるネットワークのポート番号が表示されます。各セッションには、連続する2つの固有のポート番号が必要です。デフォルトでは、セッション1に5004と5005が設定されます(5005は表示されませんが、バックグラウンドで使用されます)。通常これらはデフォルト設定のままにしておきましょう。

次に、デフォルトの「ローカル名」が表示されます。「Session 1」となっていますが、後でもっと適切な名前に変更することができます。

その下には、コンピュータのBonjour名が表示されます。ネットワークシステムで自動で発見されるため、通常この名前を変更する必要はありません。

その下には、空の「構成」セクションがあります。このセクションには、このセッションで接続されるすべてのバーチャルポートの名前が表示されます。

バーチャルポートを追加してみましょう。左側の「ディレクトリ」に表示されているMIDIインターフェースのバーチャルポートをクリックし、Connectをクリックします。ここでは、例としてmio4-204-01を選択しています。右側の「構成」リストにmioXM(mio4)のバーチャルポート01が表示され、レイテンシー調整値(通常は0ms)が表示されます。



設定後、DAWのプログラムを開くと、「Session 1」という新しいMIDIポートが表示されます。USB接続と同様に、mioXMのイーサネット端子を介してMIDIを送受信が可能です。


 

複数のセッションを開始する

例えば、さらに3つの接続を設定する手順は、上記とほぼ同じです。My Sessions」の下にある「+」ボックスをクリックして2つ目のセッションを作成し、「ディレクトリ」の次の空きポートを選択して「接続」をクリックます。2つ目のセッションは自動的にポート5006と5007に割り当てられます、個別に設定する必要はありません。これにより2つ目のセッションもDAWのMIDIポートのリストに表示されます。


他の接続も同様に追加することで、最大4つのSessionを作成することができます。

以上の手順で、それぞれが16のMIDIチャンネルを持つ、4つの完全なバーチャルMIDIポートがイーサネットネットワーク上で動作するようになりました。これらのバーチャルポートは、iConnectivityインターフェースのハードウェアDIN-MIDIおよびUSB-MIDIポートに自動的に接続されます。RTP-MIDIセッション1〜4は、DIN-MIDIポート1〜4、USB-MIDIポート1〜4、および5〜8に接続されます。

Wi-Fiを使用する

Wi-Fiルーターがあれば、Wi-Fiを介してMIDIを送受信することもできます。MacBookやiOSデバイスからWi-Fi経由でルーターにMIDIを伝送し、ルーターからはイーサネットケーブルでiConnectivityインターフェースに接続します。MIDIネットワークの設定に関しては、Ethernetネットワークと同じ方法で行うことができます。

なお、iOSデバイスでRTP-MIDIセッションを開始するには、Apple App Storeから無料で入手できるNetMIDIアプリをインストールする必要があります。それ以外の場合は、コンピュータからRTP-MIDIセッションを開始してください。

その他

MIDIネットワーク設定ウィンドウの左下には「接続を許可するコンピュータ」というリストがあります。このリストでは特定のデバイスのみに接続を制限することができます。制限をかけて都度システムにコンピュータを追加する場合は、「自分のディレクトリ内のコンピュータのみ」を、制限をかけない場合は「誰でも接続可能」に設定するとよいでしょう。また、RTP-MIDI接続を行いたくない場合は、「全てのコンピュータを許可しない」に設定してください。

右下にはライブルーティング用の2つのリストがありますが、これらには何も割り当てず、上記のスクリーンショットのように空白のままにしておきます。

これで、ケーブルの長さに制限されない、完全にネットワーク化されたMIDIシステムが利用できるようになりました。スタジオ、あるいはステージのどこにでも、信号をロストする心配なしにMIDIモジュールを設置することができます。標準的なDIN-MIDIやUSB-MIDIの接続に比べて柔軟性がありますので、ぜひ活用してください。

参照元記事
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