PolySWAMでプリセットを素早く切り替えて試聴できない理由

PolySWAMでプリセットを素早く切り替えて試聴できない理由

従来のサンプルライブラリーやソフトウェア・シンセサイザーに慣れている方から、プリセットリストを非常に速くスクロールし、その場で次々に試聴できないかというご質問をいただくことがあります。

PolySWAMのプリセットブラウザーのインターフェイスとワークフローは、フィジカルモデリングエンジンの仕組みに関わる明確な技術的・設計思想上の理由から、大きく異なる設計にしています。


1. PolySWAMの1つのプリセットは、従来のパッチ数十個分に相当

個々のアーティキュレーション(スタッカート、レガート、クレッシェンドなど)を扱うために数百もの個別プリセットが必要になることが多い、固定的なサンプルベースのライブラリーとは異なり、PolySWAMの1つのプリセットは、生きた完全な楽器です。

すべてのアーティキュレーション、ダイナミクス、無限の表現のニュアンスは、録音済みファイルのリストから「選ぶ」ものではありません。演奏のしかた(アタックのベロシティ、ノートの重なり、プレッシャー、連続的なコントローラー)に応じて、指先でリアルタイムに生成されます。数秒でプリセットを飛ばしてしまうと、その本当の実力はわかりません。PolySWAMのプリセットは、ロードして探り、文字どおり鍵盤で「試す」必要があります。


2. 統合された「シーン」

プリセットをロードすると、単一の音色ではなく、バーチャルなオーケストラアンサンブル全体がロードされます。各プリセットには複数のシーン(旧称: バリエーション)が組み込まれており、バーチャルルーム内の奏者の物理的な配置、イコライジング、リバーブ、ミキサーのバランスを瞬時に変えられます。プリセットブラウザーが開いたままになるのは、メイン画面に戻る前に、アレンジに最適な音響的シーンを確認して選べるようにするためです。


3. エンジンのインスタンス化とロード時間

技術的には、PolySWAMでプリセットを選ぶことは、最大30〜40基の独立したリアルタイムSWAM音源エンジンを同時に起動することを意味します。この処理では、MIDIアーキテクチャと、シミュレートする各アコースティック楽器の物理パラメーターを正しく初期化するために、わずかな時間が必要です。一般的な超高速スクロールのブラウザーと同じ操作感にすると、インスタンスの生成と破棄が立て続けに同時発生し、システムが過負荷の状態に陥り続けてしまいます。


4. 詳細な情報表示

プリセットブラウザーは、本格的な情報ハブとして構成しています。アンサンブルの構成、利用できるシーンの詳細データに加え、プリセットの特徴を詳しく説明したテキストも表示します。1回のクリックでブラウザーが自動的に閉じないのは、表示を途切れさせることなく、これらの情報を読んで判断できるようにするためです。


実用的なヒントとショートカット

毎回「Load」ボタンを手動で押さなくても、プリセット名をダブルクリックするだけで、選択したアンサンブルを確定してすぐにロードを開始できます。ナビゲーションの時短に役立ちます。


参照元情報:Why can't I quickly scroll through and preview presets in PolySWAM like in other libraries or synths?
https://kb.audiomodeling.com/support/solutions/articles/206000083148