ここではSoundID ReferenceアプリケーションがWindowsで利用可能な各種のドライバーソフトウェアについて説明します。
オーディオドライバーとは?
オーディオドライバーはコンピューターからの音声信号を処理して音声を出力するハードウェアに渡すためのソフトウェアコンポーネントです。SoundID Reference アプリケーションにおいて、オーディオドライバーは
音声出力を補正し指定されたハードウェアデバイスのオーディオドライバーに送る役割を果たします。
SoundID Referenceでドライバーを選択する
SoundID Reference アプリケーション画面左下の
Add new outputをクリックすると、利用可能な出力デバイスドライバーのリストが表示されます。
SoundID Referenceは
WASAPI
と
ASIO
両方の出力デバイスをサポートしており、WSAPI/ASIOそれぞれに2種類のドライバータイプの選択肢があります。
WASAPI
Windowsシステムに標準搭載されているドライバ、ハードウェアが対応していれば原則としてドライバソフトウェアのインストールは不要です。Windows内蔵オーディオデバイス(ラップトップのヘッドフォン、スピーカーなど)はデフォルトでWASAPIドライバーを採用しています。
ASIO
音楽向けにより最適化されたドライバ、ほとんどのハードウェアで別途ドライバソフトウェアのインストールが必要です。多くのASIO対応デバイスはドライバー名に[ASIO]の文字列が含まれます。
多くのオーディオインターフェースはWASAPIとASIO両方のドライバーで同時に動作が可能ですが、1つに限られているインターフェースもあります。またASIO専用のオーディオインターフェースもあるため予めお持ちのインターフェイスの対応ドライバーをご確認いただくことをお勧めします。
いずれのタイプのドライバーがサポートされるかはご利用されるオーディオインターフェースによりますが、既にWindowsでインターフェイスをご利用であれば、上記ドライバーオプションのうち1つは機能するはずです。
SoundID Reference利用できるドライバーの種類
SoundID Reference アプリケーションでは、選択するデバイスの
オーディオドライバー(WASAPI/ASIO
)に応じて4つの異なるドライバータイプを利用可能です。
WASAPIデバイス
- 仮想Windowsオーディオドライバー (Virtual Windows audio driver)
- Windowsオーディオデバイスインサート(APO)
ASIOデバイス
- 仮想Windowsオーディオ - ASIOドライバー (Virtual Windows audio - ASIO driver)
- 仮想ASIO - ASIOドライバー (Virtual ASIO - ASIO driver)
仮想Windowsオーディオドライバー (WASAPI)
Virtual Windows audio driver
WASAPI出力デバイスで使用できます。仮想Windowsオーディオドライバーは、システム全体のキャリブレーションを行うために、システムの出力デバイスとして選択します。このドライバータイプを出力デバイスに設定すると、画像のようにWindowsの出力デバイスとして「SoundID ID Reference Virtual Audio Device」が表示されます。
コンピューターのすべてのオーディオ出力をキャプチャしキャリブレーションすることができます。SoundID Referenceはキャリブレーションされたオーディオをアプリケーションで選択されたデバイスに転送します。
ドライバータイプ |
使用例 |
利点 |
注意点 |
Virtual Windows audio driver (WASAPI) |
WASAPIデバイスのデフォルト設定 |
システム全体のキャリブレーションが可能な安定したドライバー |
ASIO専用デバイスでは動作しない |
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APOに比べ短時間でセットアップ可能 |
出力レイテンシーが大きい |
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クロック同期問題が発生する場合がある |
Windowsオーディオデバイスインサート(APO)
Windows audio device insert
WASAPI出力デバイスで使用できます。前述の仮想オーディオドライバーとは異なり、SoundID Referenceのキャリブレーションは指定された出力デバイスに直接適用されます。これにより、より低レイテンシーのオーディオ再生を実現します。
重要な注意点は、このドライバータイプを最初に選択した場合に
選択したデバイスの初期化に25秒ほど時間を要するため、再生に問題が発生する場合があります。また
出力デバイスによってはAPOドライバーと互換性がない場合もあります。互換性に問題が発生する場合は、仮想Windowsオーディオドライバーをご使用ください。
ドライバータイプ |
使用例 |
利点 |
注意点 |
Windows audio device insert (APO) |
WASAPデバイスドライバー |
システム全体をゼロレイテンシーでキャリブレーション |
対応していないドライバがある |
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クロック同期の問題が発生しない |
他のAPOドライバと競合する場合がある |
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マルチストリーム可能 |
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仮想Windowsオーディオ - ASIOドライバー
Virtual Windows audio to ASIO driver
ASIO出力デバイスで使用できます。Windowsシステム全体のオーディオ出力をキャリブレーションする仮想オーディオデバイスを生成し、ASIO出力デバイスドライバーへの橋渡しの役割を果たします。このドライバータイプを出力デバイスで選択するとコンピューターの出力デバイスとして「SoundID ID Reference Virtual Audio Device」が表示されます。
これによりコンピューターのすべてのオーディオ出力をキャプチャしキャリブレーションすることができます。SoundID Referenceはキャリブレーションされたオーディオをアプリケーションで選択されたASIOデバイスに転送します。
WASAPIに対応していないASIO専用の出力デバイスを使用する場合、Virtual Windows audio to ASIO driverはSoundID Referenceでシステムサウンドをキャリブレーションできる唯一のドライバータイプです。
ドライバータイプ |
使用例 |
利点 |
注意点 |
Virtual Windows audio to ASIO driver |
ASIO専用デバイスで唯一システム全体の補正が可能 |
複数のASIOインスタンスを同時起動・個別に補正可能 |
出力ゲインをコントロールできない |
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デバイスボリュームの同期が不要 |
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低レイテンシー |
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仮想ASIO - ASIOドライバー
Virtual ASIO to ASIO driver
ASIO出力デバイスで使用できます。このドライバータイプを出力デバイスで設定すると、SoundID Reference アプリケーションが仮想のASIOデバイスを生成します。これは
システム全体のオーディオのキャリブレーションを行うものではなく、DAWの出力デバイスとして使用するドライバーとなります。
このドライバーを使用することでDAWへのオーディオ入力が可能となり、また
SoundID Referenceプラグインを使用することなくオーディオ
出力に対して
キャリブレーションを適用し、補正後の信号を
直接ASIOデバイスに渡すことができます。
キャリブレーションはDAW外で行われるためDAW内のオーディオには適用されません。
これにより
DAWでSoundID Referenceプラグインが不要となり、
プロジェクトのオーディオをエクスポートする際にプラグインのバイパスが必要なくなります。もちろんアプリケーション側のキャリブレーションをバイパスすれば
DAWで
SoundID Reference
プラグインを使うことも可能です。
SoundID ReferenceのバーチャルASIOデバイスを
DAWの
出力デバイス設定に表示するには、DAWの再起動が必要になる場合があります。
ドライバータイプ
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使用例
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利点
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注意点
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Virtual ASIO to ASIO driver
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DAWがASIO出力を使用する必要がある場合に有効
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クロックの同期が不要
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出力ゲインをコントロールできない
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CubaseなどASIOデバイス専用のDAWに
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デバイスボリュームの同期が不要 |
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